2021 Fiscal Year Research-status Report
統語的プライミング効果を利用したタスクは長期的にL2文理解と産出を促進するか?
Project/Area Number |
17K02908
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Research Institution | Kyoto Sangyo University |
Principal Investigator |
平野 亜也子 京都産業大学, 外国語学部, 准教授 (10755490)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 第二言語ライティング / L2ライティングの流暢さ / 文産出 / ICT / ライティング不安 / COIL / 国際交流 |
Outline of Annual Research Achievements |
統語的プライミング効果の発現を利用しながら、意味と形式とに注意を向けさせる産出タスクとして設定した“Timed Writing”の効果について実験を実施し、論文を執筆した。 本研究では、ライティングの授業を受講している大学1年生19 名 を対象に,第 1 週目の Pre-Timed Writing,12 週間にわたる Timed Writing そして最終週の Post- Timed Writing を授業内で実施した。学生は,10 分間は間違いを気にせず書き続けるように指示を受け,最終週には質問紙に回答した。Pre-Timed Writing と Post-Timed Writing の総語数 の平均を両側検定の対応あり t 検定で比較した結果,有意に語数が増加していたことから,Timed Writingは英語ライティングの流暢さを向上させることがわかった。そして12 週間の Timed Writing を 4 フェーズに分け,各フェーズ中に書かれた総語数の平均を,各フェーズ間で1 元配置分散分析で検討した結果,第 1 フェーズと第 4 フェーズ間以外には有意さが見られなかったことから,流暢さの向上のためには 10 週間程度の活動が必要であることが示唆された。質問紙調査からは,Timed Writing が学生の英語ライティングに対するモチベーションを向上させ,不安感を低減させ,さらに自信感を高めることがわかったが,英語および日本語ライティング全般に対する取り組み意欲を高めるまでには至らなかった。本研究結果に基づき,今後 Timed Writing を授業に取り入れる際の注意点と改善策を論文で議論した。さらに、英語を使用した国際交流が英語学習者に与える動機付きについてアンケート調査を実施し、その結果を国際学会で発表し、Proceedingとしてまとめた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
「統語的プライミング効果を利用したタスクは長期的にL2文理解と産出を促進するかを検証する」本実験に向けて、実験文の作成、実験刺激となるイラストの作成は終えた。しかし、新型コロナウイルスの影響で実験参加者を集めることができず、当初の予定であったパイロット実験の実施には至らなかった。新型コロナウイルスの感染状況が収まれば、パイロット実験の実施をすすめる。
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Strategy for Future Research Activity |
絵描写タスクが関係節文理解に及ぼす影響を検証するため、今後は具体的な実験の流れを計画し、パイロット実験を実施する。その後、調整を加えたあと本実験を実施して、絵描写タスクの関係節文理解及び産出への影響を、直後、1日後、1週間後、で検証する。
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Causes of Carryover |
新型コロナウイルスの影響で実験参加者を集めることができず、当初の予定であったパイロット実験の実施には至らなかったため次年度使用額が生じた。次年度の実験実施にかかる、人件費、謝金、実験材料費等に使用する。また、本年度に購入予定であった書籍を次年度に購入することとする。
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