2018 Fiscal Year Research-status Report
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17K02911
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Research Institution | Kindai University |
Principal Investigator |
濱本 秀樹 近畿大学, 国際学部, 教授 (70258127)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | 身体化認知 / 形容詞の同義性 / 現在完了進行形 / 否定現象 / 結果構文 / 複合動詞の結果用法 / 否定のスコープ |
Outline of Annual Research Achievements |
「意味と身体化に基づく英語教授法の提案」という基本テーマに沿った研究発表をポルトガル応用言語学会(Aprolinguas: University Porto, 2018年9月21-22日)にて行った。内容は、形容詞の同義語の意味の違い、現在完了進行形の使用条件が第二言語学習者には理解が難しいがそれを身体化認知経験に還元して教えると理解が高まることを示したものである。概ね参加者の反応は肯定的であった。 英語の結果構文も、日本人の英語学習者にとって読んで理解できるもののどのような因果関係が結果構文として容認されるのかが分りにくい。日本語では容認できない強い結果構文(例 She ran herself exhausted, *彼女は疲れて走った)が英語ではなぜ受容されるのかを因果関係の複数性と結果構文との関係で説明した論文を作成した。これに基づいて英語の結果構文と日本語の結果構文の違いを、因果関係の認知の違いから説明する授業を提案した。実際に応用言語学の授業において言語によって因果関係認知に差異があることを説明したところ参加者から本質的な理解が深まったとの好意的な感想を得た。 また英語の否定現象全般も学習者には障壁である。例をあげると(1)否定と量化表現のスコープの問題 not all P's are Q vs. All P's are not Q, (2)否定環境とNPIなど。 このような否定に関して包括的な専門書であるLaurence Horn著 Natural History of Negationの全訳『否定の博物誌』を出版した(河上誓作監訳、濱本秀樹、吉村あき子、加藤泰彦訳(2018)、ひつじ書房)。同書に基づき否定現象について身体化経験に還元して日本人学習者にわかりやすく解説できる分野を抽出中である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
年次計画をおおむねクリアーしている。基本テーマである「意味と身体化に基づく英語教授法の提案」については国際学会での発表により一定の評価を得た。結果構文についての論考がやや遅れているがこれは挽回可能である。否定現象を身体化認知においてどのように説明できる可能性があるかという点についても『否定の博物誌』刊行により、大きな足がかりを得た。
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Strategy for Future Research Activity |
まず結果構文について英語の3分類と日本語の結果構文、および複合動詞の結果用法とを因果関係そのものとの関係で整理するという作業を早期に完成する。それをジャーナルに投稿する。そこから、結果構文、因果関係などの意味概念を身体化経験としてどのように教授可能な形にし、教授案に取り込むのかという本来のテーマに繋げていく。
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Causes of Carryover |
当初、英文論文を書き上げて、英文校正会社に校正を委託しようと考えていたところ英文論文の完成が3月末になり英文校正会社に支払時期等でずれが生じる恐れが発生し、次年度にこの論文構成を委託することになった。ここから次年度使用額が発生した。
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Research Products
(3 results)