2018 Fiscal Year Research-status Report
スローラーナーを支援する英語指導法と教材の開発―ユニバーサルデザインを目指して
Project/Area Number |
17K02918
|
Research Institution | Kyoto Junior College of Foreign Languages |
Principal Investigator |
安木 真一 京都外国語短期大学, キャリア英語科, 教授 (70637991)
|
Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2020-03-31
|
Keywords | スローラーナー / 高校英語教育 / 文法(語順・後置修飾) / 単語の音韻化 / スピーキング / フレーズ音読 / 動機付け |
Outline of Annual Research Achievements |
目標はスローラーナーを支援するための実践的英語指導法を確立し、教材を開発し、公開講座等の場を設けることで中高の現場に発信することである。昨年度のつまずきの分析を受けて、研究協力者である高校教員6名と研究者がそれぞれの英語の授業で実践を行い、その内容を研究者と実践者が協力して分析を行った。2018年6月と11月には京都外国語大学にて各自の実践研究を報告し、検証するための会議を実施し、2019年1月には研究発表会を行い60名以上の参加者を得て、中間発表会を開き、実践研究を多くの教員に知らせることに成功した。研究の方向性としては、(1)文法の難しさ、(2)単語の音韻化、(3)スピーキングによる動機付け、(4)フレーズ音読からスピーキング活動 、(5)マルチメディアを使った実践 である。これらの観点から各自が実践を行い、検証を行った。 中間発表会での各自の研究テーマと所属校を述べる。(所属は2018年度、番号は該当する研究 敬称略)1梶谷和司(京都府立久御山高等学校)「高校生のためのフォニックス指導」、2 近藤泰城(三重県立桑名工業高等学校)[スローラーナーのためのアニメーションを活用した文法指導」(1)(5)、3 松田裕史(鳥取県立鳥取西高等学校)「音読中心の4技能統合型指導におけるスローラーナー指導」 (1)(3)(4)、4岩崎美佳(京都市立日吉ケ丘高等学校)「スローラーナーに対する効果的な言語発信指導」(1)(3)(4)(5)、5 渡部正実(岐阜県立加茂高等学校)「スローラーナーに対するマルチメディアを用いた語彙・文法指導」(1)(2)(3)(5)、6 村木美奈子(浜松市立高等学校)「英語表現授業におけるスローラーナー指導」(1)(3)(4) の6名である。 研究者も実践者として音読中心の指導におけるスローラーナー指導を実施した。また全国英語教育学会で発表した。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
研究協力者の協力によりおおむね順調に進行している。各自が授業実践を行い、研究者のみならず研究協力者がお互いに検証し次の実践につなげるサイクルが確立した。「(1)文法の難しさ」に関しては、2018年度は主に語順と後置修飾に焦点をあて、アニメーションの制作や、授業中の効果的な語順の提示方法などを検証した。「(2)単語の音韻化」に関してはフォニックスを1年間の指導に関して行うかの実践と検証を行った「(3)スピーキングによる動機付け」に関しては、授業の様々な局面でスピーキングを実施する方法が試みられ。効果的に機能した。「(4)フレーズ音読からスピーキング活動」に関しては研究者のこれまでの実践を追試、更に改良して行われ、効果が検証された。「(5)マルチメディアを使った実践」に関しては様々な実践の中で使用が試みられ、効果的に機能した。 以上2年目の目標である「スローラーナーの指導をするための方法と教材の開発」が効果的になされたと言える。
|
Strategy for Future Research Activity |
本年度の研究は、昨年までの研究を深め、最終的に研究成果を、特に高校の現場に広めること目標とする。その際に重視することは指導法のユニバーサルデザイン化である。つまずきに関して重視する点は明らかになり、各研究協力者の実践も研究目標を達成するための基礎的な要素は満たしている。京都外国語大学で実施された中間発表会では、各人の発表は一定水準以上のものであったが、参加者から手順に関して多くの質問があり、開発された指導法の提示方法の改善の必要性が示唆された。そこで本年は研究会で開発し、各人が実施してきた指導法を更にユニバーサルデザイン化し、現場で苦闘する教師やその向こうにいるつまずく生徒にとってわかり易いものにしたい。 年間3回研究者と研究協力者が集まる機会があったが、本年度はのメーリングリストに加えてZOOMなどにより遠隔地の参加者も無理なく参加していただける形で、会議を実施することも試みたい。研究協力者の共通の課題としては基礎的な部分では文字指導において、教師の提示するプリントなではどのような文字の提供がふさわしいか、後置修飾や語順指導におけるアニメーションを生徒が実際に使用できるようになるためには、どのような方策をとればよいか、発信力を養成する授業の中で、スローラーナーを含む生徒は積極的にスピーキング活動を実施しているが、動機付けが高まったかをどのように検証するかなどがある。これらの課題に取り組みたい。最終的には、実践研究を広めるべく最終研究会を開くと同時に、各自の授業の実践を実演しその理論的背景を説明する教師向けのDVDを作成することを目指している。
|
Research Products
(9 results)