2017 Fiscal Year Research-status Report
プロトタイプ理論に基づく意味ネットワークの可視化による新たな多義語教授法の開発
Project/Area Number |
17K02919
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Research Institution | Mukogawa Women's University Junior College Division |
Principal Investigator |
木村 麻衣子 武庫川女子大学短期大学部, 共通教育科, 准教授 (30290414)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
荒尾 浩子 三重大学, 教育学部, 教授 (90378282)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | 教材開発 / プロトタイプ理論 / 多義語 / 外国語教育 / カリキュラム論 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、日本人英語学習者にとって習得が難しいとされている多義語の複数の意味をダイアグラムで示し、可視化することで「単語学習=ひたすら暗記をするだけ」という苦行ともうつる学習方法から学習者を解放すべくあらたな多義語教授法を開発することを目的としている。研究初年度にあたり、これまで研究者により表現が異なり曖昧な部分が否定できなかった多義語の「定義」について先行研究を徹底調査、それらから知見を得ることで本研究におけるOperational Definitionを決定する作業を行った。また多義語の意味変遷について歴史的観点からの文献研究を時系列に行い、合わせて意味分析手法に関わる方法論を同時進行で習得するよう代表者・分担者協力のもと研究を進行中である。パイロットスタディとして、採択率の高い2社(New Horizen, New Crown)の中学英語検定教科書をもとに、30語を抽出し、日本人英語学習者68名を対象にそれぞれの語の3つの意味を想起順に回答するという調査を行い、学会誌に「研究ノート」として発表したが、その際査読者より「事前に語の意味を選択肢として提示することに問題はないか」という指摘をうけ、回答者が知らない意味にまで番号をつけた可能性を否定するために、選択肢方式をやめ「想起順に意味そのものを記述させる」調査方法に変更することになった。本調査を行う前に10名を対象にミニ調査を実施し、選択肢方式による調査との比較分析をしている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
メタファー、メトニミー、シネクドキに関わる「多義的」意味と、本研究が主目的としている単語の「多義的」意味の区別を行うことに想定以上に時間がかかり初年度に実施を予定していた大規模な日本人英語学習者へのアンケート調査(本調査)にすすむことができなかった。これは、代表者、分担者ともに、語彙意味論に対する理解が不足していたことに起因するものと考えている。年度末に質問紙は完成しているので、研究分担者の勤務校の学生にも協力を得ながら早急にアンケートに着手する予定である。
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Strategy for Future Research Activity |
日本人英語学習者に対するアンケート調査を実施し、統計処理を行う。可能な限り英語母語話者にも同様のアンケートを実施し、比較調査する。日本人英語学習者を対象にした未知語の意味処理について先行研究を概観し、知見を得ながら本研究の主目的である意味ネットワークの可視化について30語程度をもとに試作し、ミニスタディを実施する。ミニスタディの方法は、①学習者に多義語の意味ネットワークを指導する ②当該学習者全員にとっての未知語を抽出する ③未知語の意味理解テスト(プロトタイプ的意味を有する英文を軸に周辺の意味を持つセンテンスを複数用意し、意味想起テストを実施)の手順での実施を予定している。また、前期中に2回の学会発表申し込みを行い既に2回とも採択されており、5月、6月に国際学会(マレーシア/上海)での発表を予定している。
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Causes of Carryover |
統計処理までの経過をたどることができず予定していた成果発表が論文発表という形で行えなかった。また学会発表も当初3回予定したものが1回しか行えず使用額が提出した予定額と異なるものとなっている。
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Research Products
(5 results)