2019 Fiscal Year Research-status Report
初級英語学習者の技能・知識の関係と発達:読みと語彙の諸側面を中心にして
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17K02920
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Research Institution | Mukogawa Women's University |
Principal Investigator |
今村 一博 武庫川女子大学, 教育学部, 教授 (70632826)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | 読みの正確さ・速さ / 語彙の広さ・深さ・速さ / 視線解析 / 読解ストラテジー / 半構造化面接 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、日本における初級英語学習者を対象に、英語の技能・知識の関係と発達について、読解と語彙の諸側面を中心に実証的研究を行い、教育的示唆を得ることを目的とする。先行研究では、読みと語彙の関係を調査したものもあるが、読みと語彙の多くの側面を対象とした実証的研究は少ない。 そこでこれまで、①初級英語学習者を対象に、英語の読み(速さ・正確さ)と語彙の諸側面(広さ・深さ・速さ)の関係を中心に多面的に調査した。オンライン調査として、まとまりのある英文をリーディングしている際の眼球運動に関する調査も行い、データを取得した。②読み・語彙を中心とする調査を行ったが、それらには読解ストラテジー、文法知識、情意に関する調査が含まれ、可能な範囲で多面的なものとした。その大量の各データの入力と必要な処理を行ってきたが、リーディング中の眼球運動(視線解析)に関するデータの処理に関しては、方法論が確立されているわけではないことから、かなりのデータ処理を済ました後、改善する方法を見い出して、再処理を行った。細部の修正のため、多くの時間を費やしたことになるが、今後につながる改善点であると考えられる。 本研究で量的研究を進める中で、量的研究だけでは調査できないことが多いということも同時に意識するようになった。探索的に調査したり、少数の参加者であっても多面的に詳細に調査したりすることができる質的研究を、量的研究と効果的に組み合わせることが重要である。そこで課外での多読を課されている英語学習者を対象に自由記述式質問紙調査、半構造化面接を行い、英語の知識・技能の発達を語彙に焦点を当てて調査する項目を含む研究を行い、一定の成果を得た。国際学会で発表し、査読付きのプロシーディングの掲載が確定している(現在学会が掲載準備中)。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
「研究実績の概要」で述べたように、リーディング中の眼球運動に関するデータ処理では、改善する点を見出し、再処理をして時間を要したが、今後の研究につながるものと評価している。その他、かなり大量のデータの中でデータ処理が済んだものから統計処理、分析、考察も始めている。また、多読を課外で課されている英語学習者を対象に自由記述式質問紙、半構造化面接を利用して行った質的研究によって、量的研究では得られない視座も得られた。全体として、おおむね順調に進んでいると言える。
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Strategy for Future Research Activity |
2020年度も、教育や様々な業務に時間を要すると思われるので、時間を確保して集中して効率的に研究を進める必要がある。リーディング(リーディング中の眼球運動に関する調査を含む)及び語彙等に関する、多岐にわたる全ての調査項目について、適切で正確なデータの統計処理を行った後、分析、考察を順次進める予定である。分析・考察に関しては、多様な調査項目を有機的に関連付けて多面的に広い視野で行っていきたいと考える。その後、発表できる形にまとめて、研究発表、論文作成等の研究成果の公開へと進む予定である。
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Causes of Carryover |
勤務する大学の業務の関係で、当初予定していた海外の学会に参加できなかったため、次年度使用額が生じた。次年度の海外の学会参加費用、論文の英文校正費用等に使用する予定である。
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Research Products
(2 results)