2018 Fiscal Year Research-status Report
海外連携による外国語学習における反転学習の実践と課題―自己調整学習の観点から
Project/Area Number |
17K02960
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Research Institution | Hiroshima Institute of Technology |
Principal Investigator |
安部 由美子 広島工業大学, 工学部, 准教授 (00592346)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
J・A Elwood 明治大学, 総合数理学部, 専任教授 (00400614)
Hood Michael 日本大学, 商学部, 准教授 (90349928)
益子 行弘 浦和大学, 社会福祉学部, 講師 (40550885)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | 反転学習 / CSCL / 外国語教育 / 自己調整学習 / eポートフォリオ |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では、eポートフォリオを用いた反転学習を導入し、海外連携の遠隔学習を一定期間行い、事後の同期型CSCL(コンピュータによる協調学習支援)ツール、ビデオ通話を使った教室内活動にどのような影響を及ぼすかを調査した。英語中級レベルの日本人大学生と同じアジア圏の英語を公用語とするフィリピン人、マレーシア人大学生を実験協力者とし、事前のeラーニング利用の効果の認識、学習者が使用した学習方略、動機づけ要因(自己効力感、内発的価値)、学習成果、反転学習に対する満足度にどのような因果関係があるかを検討した。 本年度の調査内容は、前年度の結果について、同じ条件下で調査を続け、MSLQを用いて、学習成果(英語のテスト)、満足度、動機づけ要因(自己効力感、内発的価値)、学習方略において、国籍により認識の差が生じるか検討するために、データ分析を行った。 受講者アンケートによる実験データから、相手国、及び日本人学習者において、反転学習に対する満足度は高く、尺度アンケートMSLQによる動機づけや学習方略のスコアが上昇するなど、反転学習が、事後の活動に役立っているものと考えられる。また、動機づけの信念と学習方略に関して、分散分析後の多重比較では、同じアジア圏で英語を公用語とするフィリピン人大学生とマレーシア人大学生との間では、差は見られなかった。自己効力感の高い学習者は、自己調整学習方略、メタ認知方略、管理方略(時間・環境)、努力調整方略、援助要請方略をより多く使用することが示された。さらに、日本人学習者に対して、学習方略と動機づけの関係について、相関分析を行ったところ、課題価値、自己効力感、統制信念は、メタ認知方略と自己調整学習方略との間に正の相関が見られた。それらの関係性について、今後さらに検証していく必要がある。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
動機づけ信念、満足度、学習成果などの受講者アンケートを利用した実験データから、相手国及び日本人学習者共に満足度が高く、実験前後で学習成果、動機づけ信念学習方略が向上したことから、eポートフォリオを利用した講義ビデオを利用した事前学習が、有効であることが示唆された。したがって、当初の予定通り順調に遂行していると判断している。
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Strategy for Future Research Activity |
次年度(31年度)は、30年度の結果について、学習成果や英語能力を従属変数とし、独立変数(性別・国籍、・動機づけ、学習方略)を複数設定して分析することで、変数間の関係を明らかにする予定である。さらに、スピーキング力、リスニング力などにおいて、学習効果があるか調査し、反転学習や実際の交流での有効性について詳しく調査する。また、29年度からのデータ分析、統計処理を行ない、結果を集計し、まとめた報告書をホームページで掲載、論文投稿などを行う。
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Causes of Carryover |
(理由)当初予定していた謝礼金と打ち合わせ代が抑えられたため、繰越金が生じた。
(使用計画)繰越金を含めた次年度分については、今後の分析費用、及び論文の掲載料などに効果的に使いたい。
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Research Products
(3 results)