2017 Fiscal Year Research-status Report
漢字文化を基礎とした中期朝鮮語文法および語彙表の開発
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17K02962
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Research Institution | Kumamoto Gakuen University |
Principal Investigator |
矢野 謙一 熊本学園大学, 外国語学部, 教授 (00271453)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
岸田 文隆 大阪大学, 言語文化研究科(言語社会専攻、日本語・日本文化専攻), 教授 (30251870)
植田 晃次 大阪大学, 言語文化研究科(言語文化専攻), 准教授 (90291450)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | 朝鮮語 / 十五世紀後 / 語彙 / 文法 |
Outline of Annual Research Achievements |
初年度の研究は語彙表の作成と文法の作成に着手することであった。 語彙表は4月より『龍飛御天歌』と『釈譜詳説』の各巻を対象にして作成していたノートをたたき台にして、各項目を見出し語、品詞、該当する漢字、和訳、例文出典、例文、例文の和訳の順に書いたものを第1回の試作とし、2017年7月までに手書き原稿を作成した。これを5部複写のうえ、製本し研究分担者に配布した。研究分担者がこれを実際に使用して、欠陥・不備などを発見、修正案の作成につとめた。第1回研究会を8月4日(金)に大阪大学で行い、見出し語の配列順序の再検討、補充すべき語とおよその語数、和訳の送り仮名使い、例文の形式統一、漢字の提示法などを検討し、結果を次回研究会までの課題とした。研究統括者は、それらの指摘や提案に基づき、第二回の試作を作成するため、見出し語の配列替えのための見出し語カードを作り、配列を直したが、こんどは改めた配列に欠陥が見つかり、新旧それぞれの配列の長短を検討して、どちらかを採用するか、あるいは新たな方法による配列に替えるかが次の研究会として残った。補充すべき単語は、他の文献から収集することで目標の単語数に達した。和訳の送り仮名は提示する漢字により微妙に異なるのは避けられず、それは許容することとした。例文の提示は可能な限り修正を加え整然とさせた。漢字の提示は調査した文献の数が増えるほど、字数の増加は避けられず、これはすべての字を原稿にとり、最後の段階で選択し取り去ることにした。 文法の作成は、表記法の変遷と音韻について原稿を作成した。これは予定通りである。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
4: Progress in research has been delayed.
Reason
語彙表は2017年度中に最終稿を研究分担者に製本して渡した上で、2018年度はその語彙表を使い、語彙表に調整を加えつつ、それを文法の作業に生かす計画であったが、語彙表の作成が計画通りにいっていない。文法の作業は予定通りである。これは予定していた第2回と第3回の研究会を開くことが出来ず、語彙表を修正の結果を検討できず、さらなる試作ができないまま今日に至った。 この遅れは、研究統括者が2017年度まで役職にあり、当該年度に解決に関わるべき課題が予想外に増え、本来、研究につかうべき時間を他の事柄に使ったためである。2017年度は2016年の熊本地震の翌年度にあたり、2016年度は地震が原因となって生じた緊急の課題を「非常時」ということで様々な方法を使い解決したが、2017年度はその非常時の運営のひずみが年度の進行とともに、課題として次々にあらわれ、例年の仕事に加え、それらの課題の年度内の解決に取り組まざるを得なかったためである。
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Strategy for Future Research Activity |
文法はほぼ計画通りに進んでいる。これは「研究計画調書」に記載の方針で行う。研究会の開催は予定通り行える。資料調査は問題が提起されて行うことにしており、これも必要に応じて進める。語彙表での作業遅れは約6ヶ月の遅れであるが、現在遅れを取り戻すための作業を進めており、この結果を見て、文法の作業への影響や作業段階での変更などを見極め、計画の大幅な見直しが必要かを含めて、2018年6月予定の第1回の研究会で話し合う。
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Causes of Carryover |
主な理由は語彙表の作業が遅れたためである。そのため修正を検討する研究会が開催されず、研究分担者の研究会用の旅費と調査旅費を使用しなかった分が残っている。また研究統括者は語彙表の電子化のために物品費を予定していたが電子化まで作業がすすまず、使用していない。語彙表の進捗により解決すべき課題が当然生じ、研究会と調査は必要となるので、今年度と来年度にかけて差額は使用する。また統括者の物品も今年度中に作業をすすめるので、次の作業段階で必要となり使用する予定である。
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