2020 Fiscal Year Research-status Report
ニューラルネットワークを用いた第二言語習得モデルと母語干渉の研究
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17K02971
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Research Institution | Tottori University |
Principal Investigator |
小林 昌博 鳥取大学, 教育支援・国際交流推進機構, 准教授 (50361150)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | 母語干渉 / ニューラルネットワーク |
Outline of Annual Research Achievements |
2020年度は、日本人英語学習者の母語知識の干渉を調べるために、関係代名詞節の係り受け先が潜在的に構造上異なる位置に複数ある場合、係り受け先の名詞句の選択に関して言語ごとの傾向があることを指摘し(Miyao & Omaki 2006)、Miyao & Omaki (2006)で報告された習得モデルが、本研究で構築されたニューラルネットワークモデルでシミュレーションできることを示した。また、本年度はニューラルネットワークモデルの精密化をさらに進めることに尽力した。具体的には、昨今言語処理モデルでも用いられている再帰型ニューラルネットワークモデル(RNN)の構築をすすめ、データのさらなる収集とモデルの精密化を進めた。特に、関係代名詞節の係り受け先などの現象は、文内における関係代名詞節と修飾先の名詞句との構造上の距離などをモデルが取り扱える必要があるが、時系列を取り入れたニューラルネットワークを用いた研究はなく、長期的な記憶を留めることができるLSTMをモデルの枠組みとして採用することにし、モデル構築を行った。現在は、新型コロナウイルスの影響で2020年度に実施できなかった日本人英語学習者を対象にする実験のために、実験用のテストを作成している。また、ニューラルネットワークを用いた予備実験の段階として、学習用データの構築を行い、関係代名詞節の係り受け先以外に日本人英語学習者の母語干渉が観察される現象を調査し、ニューラルネットワーク上でのシミュレーションデータと学習者のデータを比較する準備をした。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
2020年度は、新型コロナウイルスの影響で計画していた実験を実施することができなかったが、モデルの精密化など2021年度に向けた準備も進んでいるため。
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Strategy for Future Research Activity |
今後も母語知識の英語学習に対する干渉とそのシミュレーション研究を進める。特に今年度はLSTMモデルを用いた時系列概念を取り入れたモデルに拡張する予定である。
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Causes of Carryover |
2020年度は新型コロナウイルスの影響で予定していた学習者を対象とした実験を実施するのが難しく、本研究の実施期間を延長したため。
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