2019 Fiscal Year Annual Research Report
A Fundamental Study for Exploring the Psychological Reality of English Collocations
Project/Area Number |
17K02974
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Research Institution | Hiroshima University |
Principal Investigator |
阪上 辰也 広島大学, 外国語教育研究センター, 准教授 (60512621)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | 第二言語習得 / コロケーション / 心的実在性 / 学習者コーパス / ライティング / 言語処理 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は,複数の語句から形成される「コロケーション」(連語表現)が,日本人英語学習者により,どのように保持されているか,その心的実在性を調査するものであった。本研究を進めるにあたり,英作文データなどの収集を行ってコーパスを構築したり,既存の大規模学習者コーパスを活用したりすることで,特定の英語表現がどれほどの多さ・速さで産出されているかを中心に分析を行った。結果として,日本人英語学習者の多くが,複数の英語表現を一定程度繰り返して使う傾向が見られ,多く使われる表現であれば産出に要する時間が短くなる傾向が見られた。一方で,日本語には直接的に対応しない表現である英語の前置詞句については,コロケーションと判断できるほどの産出事例は十分に観察されず,全体的な産出頻度の低さが明らかとなった。 これまでの研究において,コロケーションの多くは,単語と別の単語が密接に連結された組み合わせとして扱われて分析がなされていたが,本研究では,そうした組み合わせよりもさらに大きな単位となる,構文レベルでの産出状況についても調査を行った。具体的には,名詞句の内容をより具現化するために用いられ,日本人英語学習者が苦手とすると言われている関係節構文についての調査を行った。その結果,ある単語と別の単語の組み合わせたレベルでのコロケーションに限らず,構文のようなより大きなレベルであっても,一定のまとまりをもった表現として学習者に保持され運用されていることが分かった。日本人英語学習者については,教育による影響とその効果がうかがわれ、特に教科書を中心とした文法学習などから得られた知識が心的に蓄えられたことにより,コロケーションという形となって産出されたものであると考えられる。
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