2017 Fiscal Year Research-status Report
語用論的能力向上を目指した対話場面における中国語学習者の受容ストラテジー研究
Project/Area Number |
17K02978
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Research Institution | The University of Kitakyushu |
Principal Investigator |
西 香織 北九州市立大学, 外国語学部, 准教授 (70390367)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | コミュニケーション・ストラテジー / 聞き返し / 中国語 / 語用論 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は主に異文化間語用論及び中間言語語用論の角度から、主に日本語を母語とする中国語学習者が、聴解上の問題が生じた際に用いる「聞き返し」などのコミュニケーション・ストラテジーについて、習熟度や学習環境の別を考慮しながら、1)その特徴と語用論的転移の有無、2)対話相手との親疎・上下関係がストラテジーの選択にどのように影響するか、3)学習者は聞き取れなかった相手の発話内の情報を最終的に正しく理解できたか、4)中国語母語話者はそのストラテジー、表現形式をどの程度、容認するのか、の4項目を明らかにし、学習者が自律的かつ効果的にコミュニケーション上の障害を取り除き、新たな情報(単語、表現)を理解、習得していくのに必要なストラテジーを明示化することを目的とする。 平成29年度はまず、主に1)2)に関連して、中国語母語話者、日本(CFL環境)で学ぶ中国語学習者(全て日本語母語話者)、中国(CSL環境)で中国語を学ぶ中国語学習者を対象に、それぞれ中国語のオーラル談話完成テスト(クローズドロールプレイに近いDCT)を実施し、さらに、中国(CSL環境)で中国語を学んでいる、韓国語を母語とする学習者と日本語を母語とする学習者、及び中国語母語話者を対象とした中国語による模擬面接形式のインタビュー調査を行った。 三年間の全体の計画の中では、特に中国で実施する必要のある調査が当初の予定よりもかなり早く進んでいるものの、分析自体はこれからであり、また、日本で実施する日本語母語話者を対象とした調査も次年度に延期したことから、研究成果の発表などは次年度以降に行う予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初は平成29年度に主に談話完成テストを利用したプレ調査を実施し、平成30年度及び31年度前半に、インタビュー形式のメイン調査を実施する予定であったが、平成29年度に中国での調査を集中して行う機会ができたことから、急遽、予定を前倒しして、中国で行う予定の中国語によるプレ調査及びメイン調査を実施した。メイン調査については予定よりも詳細な調査を実施する機会に恵まれた。 平成29年度に実施予定であった日本語によるプレ調査は平成30年度に実施することになり、また収集したデータの分析なども次年度以降に実施することになったが、全体としては順調に進んでいる。
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Strategy for Future Research Activity |
平成30年度に実施予定であったメイン調査を平成29年度にほぼ実施できたため、今年度はその分析と日本で実施予定の調査を行い、必要に応じて補足調査を実施する。また、平成29年度はデータの収集が中心となり、研究発表などができなかったため、平成30年度後半は主に研究発表(論文執筆)に当てる予定である。
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Causes of Carryover |
少なくとも2回に分けて行う予定であった海外(中国)での調査を1回の出張で短期間に実施できたこと、特に海外で行う予定であった研究発表を平成29年度の調査の進捗状況から、平成30年度以降にすることとしたこと等から、使用予定であった旅費などが未使用となった。 平成29年度に行う予定であった研究発表は平成30年度内に積極的に行う予定であるため、旅費が当初の予定よりかかる見込みである。
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Research Products
(2 results)