2019 Fiscal Year Research-status Report
Effects of lexical access and sentence structure complexity on English rate perceived by Japanese learners of English
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17K02980
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Research Institution | Mejiro University |
Principal Investigator |
広実 義人 目白大学, 外国語学部, 教授 (30269469)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | 速度知覚 / 語彙アクセス / 文構造 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の目的は、語彙アクセス速度に代表される言語処理能力と文構造の複雑さが日本人の知覚する英語の速さに与えている影響を調査し、外国語速度知覚の本質を明らかにすることである。2019年度には、2018年度に実施した予備的実験結果を基に刺激音を修正した上で、実験1~5を実施し40名の被験者からデータを収集することを目標とした。しかしながら、刺激音の修正がうまく行かなかったため、本実験が実施できなかった。 修正が必要だった実験(実験5)の目的は、文構造が英語の速度知覚に影響を与えるか否かを検証することであった。したがって、文構造は異なるがその他の条件(文を構成する単語の親密度、文全体の長さ、イントネーション等)が同じ刺激音を3種類または4種類作成する必要があった。そこで極力同じ単語を使って構造のみ異なる英文を8セット(1セットは3種類または4種類の英文からなる)を作成し、予備的実験を行った。その結果、ほとんどのケースで有意な差は認められなかった。 私の考察では、その理由は、構造が異なるとはいえ同じ単語が同じテンポで繰り返され、かつ、文の長さもほぼ同じだから記憶の中に同じ一続きの音声として留まってしまうからだろうと思われた。このまま本実験を実施して、文構造と速度知覚は無関係であるという結論を出してもよかったのだが、刺激音にはまだ改良の余地があると考えて刺激音の修正に取り組むことにした。 もう一つの理由は、一見難しそうに見える文構造も学習者にとっては大して難しくないかもしれないから、と思われた。そこで実際に学習者にインタビューして、どういう文が難しいと認識しているか調査した。その結果、結局は構造的に長い文が難しいと考えていることがわかった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
4: Progress in research has been delayed.
Reason
実験の準備のうち、実験5の準備に予想以上に時間がかかってしまっている。平成31年度中にその遅れを取り戻せなかった。予備実験は終えているが、本実験はまだ終わっていない。したがって、現段階では研究は遅れた状況になっている。
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Strategy for Future Research Activity |
予備実験の結果を精査、検討した結果、刺激音修正の方針を次のとおりとする。 (1)これまでは刺激音の統制にこだわりすぎて文の長さを一定にするよう努力していたが、文構造と文の長さは独立したものではなく、文構造が変われば文の長さも変わると見なす。 (2)必ずしも同じ単語を使う必要はなく、親密度がほぼ同じなら別の単語を使ってもよいこととする。 以上の2点を基本方針として刺激音の修正を早急に行う。その上で、なるべく早く本実験を開始したい。2020年7月中に必要数の実験データがすべて収集できるよう研究のペースを上げていく。夏期休暇中に実験データの分析と文献調査を終え、本年度後半には研究発表を行い、論文を完成させる予定である。
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Causes of Carryover |
実験協力者への謝金として使用するつもりだったが、予定通り実験を実施することができなかった。また、予定していた国外での学会発表が一度しかできなかったため、次年度使用額が生じた。 2020年度には実験協力者への謝金、および国外での学会発表の旅費交通費として使用する予定である。
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Research Products
(1 results)