2017 Fiscal Year Research-status Report
韓国語教室における国際間交流授業モデルの開発及び構築
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17K02981
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Research Institution | International Christian University |
Principal Investigator |
OHE HyeーGyeong 国際基督教大学, 教養学部, 講師 (80552372)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | 異文化間コミュニケーション / 韓国語教育 / 国際間語学交流授業 |
Outline of Annual Research Achievements |
プロセス中心アプローチを導入して学習者の異文化コミュニケーション能力(ICC)を高めるための国際間交流授業をデザインし、申請者の所属機関である日本の韓国語の受講生と韓国の日本語の受講生の間で、合計8回にわたって第1回目国際間交流授業を実施した。具体的には、日本語を目標言語とする中央大学〔韓国〕の「日本語コミュニケーション論」【受講者数:25名、授業担当:イ・キリョン】の受講生と 韓国語を目標言語とする国際基督教大学〔ICU・日本〕の「韓国語2」【 全学共通科目、受講者数:18名、授業担当:オ・ヘギョン】の受講生の間で合計7回〔毎回70分間〕にわたって日韓交流授業を実施した。最初の10分は、相互の機材作動の確認や挨拶を含め、両国の担当教師が当日の授業について簡単に説明した。その後、最初の30分は日本語のみのセッション、残りの30分は韓国語のみのセッションとし、各国の文化現象について個別またはチームになった学生たちが約15分間自分の目標言語で発表を行い、残りの15分間、発表内容について両国の学生同士で質疑応答を行った。発表テーマについては、最初の3回は日韓の担当講師が事前に決めた共通テーマについて、残りの4回はそれぞれ興味のあるテーマについて発表した。また、より親密な交流ができるよう、それぞれいくつかのグループに分けて、日韓の文化的な習慣の違いなどについて、授業外でグループディスカッションを行った。毎回の授業の様子はビデオで録画し、毎回の交流授業が終わってから学生にコメントを書いてもらった。さらに、最後の授業では、今回国際間語学交流授業に参加する学生についてアンケート調査を行い、最後の時間にはFantini(2005)の異文化コミュニケーション評価モデルを援用してアンケート用紙を作成し、国際間交流授業に参加した、日本と韓国の大学生を中心にアンケート調査を行い、現在分析中である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究プロジェクトは現在順調に進んでおり、初年度に予定した目標はほぼクリアしている。ただし、目標言語や文化の人々と国際間交流を行う、という本プロジェクトの目標に邪魔になるような要素もみられたりする。たとえば、今回の交流授業に参加した日本の国際基督教大学(ICU)の学生は全員日本人で目標言語・文化は韓国語・韓国文化である。一方、交流先である韓国の中央大学で日本語コミュニケーション論を受講している学生の構成員には、韓国に留学している日本人学生あるいは第一言語が日本語である在日コリアンの学生も含まれており、目標言語・文化という側面で合致していなかった。したがって、次回の交流先・クラスの選定にあたっては、授業構成員が目指している目標言語・文化が一致しているのかどうかについても慎重に考慮する必要があると思う。 次に、交流授業で使うマイクなど、使用機材の調子が悪く、事前に何度もテストをしたのにもかかわらず円滑な交流授業に支障を与えることがあった。次回からは使用機材を含め、快適な交流授業の環境を整える必要がある。 最後に、多数間のディスカッションだけでなく、少人数での交流を授業内でも増やしていく必要がある。今回、授業外で両国の学生による少人数のグループディスカッションが行われているが、授業外だと学生たちの時間調整が難しく、できる限り授業内で可能な方法を探る必要がある。
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Strategy for Future Research Activity |
今後、第1回目の日韓交流授業で気づいた点を修正・補完した形で第2回目の交流授業を実施する予定である。今回も日本語を目標言語とする中央大学〔韓国〕の「日本語会話Ⅳ」【受講者数:20名程度、授業担当:イ・チェソン】の受講生と韓国語を目標言語とする国際基督教大学〔ICU・日本〕の「上級韓国語Ⅱ」【受講者数:10名程度、授業担当:オ・ヘギョン】の受講生の間で合計6回〔毎回70分間〕にわたって交流授業を実施する予定である。授業における使用言語や時間配分など、全体的構成は平成29年度と大体同じであるが、発表テーマについては担当教師が事前に決めるのではなく、学生が自由に決めるようにしたい。なお、第1年目と同じく、毎回の授業の様子をビデオで録画し、毎回の交流授業が終わってから学生にコメントを書いてもらう予定である。録画した6回分のビデオ及びコメントシートを質的に分析し、アンケート調査を量的に分析する。なお、集計されたアンケート資料を、DMIS(Bennett 1993)などのICCの評価モデルと目安に従って、日韓の国際間交流授業が受講生のICCに及ぼした影響について評価を行う。
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Causes of Carryover |
録画ビデオ分析のためのソフトウェアの購入とノートパソコン用の付属機器等の購入が必要である。そのほか、1年目と同じく、協同でアクションリサーチを行う韓国側の研究協力者の先生方に謝礼品を渡す予定である。なお、国際間交流授業の実施にあたって、テクニカルサポーターをしてくれるRAとビデオの録画と保存など、コメントシートの収集・整理などを手伝ってくれるRAも必要である。そのほか、国内外の学会(外国語教育メディア学会〔場所未定〕、IPrA〔場所未定〕)に出席するための旅費も必要である。
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