2019 Fiscal Year Research-status Report
英語を話す意欲を向上させる条件 -日本語使用に焦点を当てて-
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17K02990
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Research Institution | Ryukoku University |
Principal Investigator |
今野 勝幸 龍谷大学, 社会学部, 講師 (00636970)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
山口 篤美 神田外語大学, 言語教育コンサルタントセンター, 講師 (10749469)
古賀 功 龍谷大学, 理工学部, 准教授 (90528754)
TWEED Andrew 神田外語大学, 言語教育コンサルタントセンター, 講師 (30788823)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | 動機づけ / 会話意欲 / WTC / 個人差要因 / 混合研究法 |
Outline of Annual Research Achievements |
2019年度は、2018年度に行われた調査で得られたデータを分析し、発表した。2件の主要な研究成果を報告する。1件目では、時と場所によらず比較的安定した変数として考えられている特性的な会話意欲(以降、WTC)と、時と場合によって変化する状況的なWTCという2つのWTCが、英会話に従事している日本人英語学習者の行動や態度にどのように影響しているのかを検証した。調査では、日本人英語学習者2名が初対面の英語母語話者と日常会話を行い、その内容を基にインタビューを行った。会話の様子は録画され、それを見ながら学習者自身が自己評価した会話中の状態的なWTCを基に、特徴的な変化が見られた箇所を中心に質問が行われた。なお、特性的なWTCと合わせて、自信と不安もアンケートで測定された。分析は、質的分析を中心に行われた。結果、従来は特性的なWTCが高いほどコミュニケーションに対してより積極的であると考えられてきたが、特性的なWTCの高さが、必ずしも英語による実際の発話を保証しないことがわかった。状況的なWTC要因が揃わなければ、発話は促されない。また、実際の英語での発話は不安からも影響を受けるが、どのような不安が影響するのかは学習者によっても異なることも明らかとなった。 この結果を受けて、状況的なWTCに影響する要因を明らかにすることを目的に次の研究を行った。調査参加者は日本人英語学習者4名であり、1件目の研究と同様の研究方法で進められた。結果、状況的なWTCの上昇と低下の双方に影響する要因として共通していたのは、会話のトピックであった。難しい説明を要するトピックでも、個人的に大きな意義を感じるトピックであれば状況的なWTCは上昇することがわかった。一方、身近で単純なトピックでも、知識が不足していたり自分の意見を決めかねていたりする場合だと状況的なWTCが低下することが明らかとなった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
2019年度はそれまでに収集されたデータを取りまとめ、分析を行い、2つの研究を発表することができた。我々の研究の中でも中核となる成果であり、今年度の目標はそれらを取りまとめた論文を執筆・投稿することであることを考えると、概ね順調に進めることができたと考えている。しかし、現在、研究メンバーの勤務校ではオンライン授業に切り替わりが進められており、そのための準備に多くの時間が割かれていることや、また、勤務先の変更などもあったため、研究環境を整え執筆の準備を進めるには予定していたよりも長い時間を要しているのが現状である。しかしながら、これらの状況が落ち着けば、研究環境に障害が生じているわけではないので、すぐにペースを取り戻すことができると考えている。また、前年度からの後ろ倒しになった計画の影響もあるので、解決できるよう至急取り組みたい。
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Strategy for Future Research Activity |
2020年度に行う主な活動内容は、計画していた2本の研究論文を執筆し、完成させて国内外のジャーナルに投稿することである。これは2020年度の前半に1本、後半に1本、というペースでの執筆を計画している。現在までの進捗状況の項で述べたように、業務形態を含む現在の業務環境は大きな変化を迎えており、その準備と適応に多くの時間が割かれている状況である。準備が進み、その環境に慣れてくればペースを取り戻すことができると思うので、計画の若干の後ろ倒しが予想されるが、年度内に2本の研究論文を必ず執筆する予定である。 また、時間が許す限り、追加の研究も行いたいと考えている。2019年度に発表した研究の成果からは多くのことを得ることができたが、同時に問題点も多く提起されることになった。例えば、WTCは話す機会が与えられている時、話すという選択をするかどうかの度合いを示す変数であるが、2019年度の研究のように、英語母語話者との1対1の対話では、話者の意思に関わらず、話すという選択を強いてしまうことにもなる。つまり、WTCを研究する上での限界点であるとも考えられる。これを解決すべき課題として、新たな研究を行いたい。しかしながら、現在の状況では、研究協力者を募集することが難しい状況である。研究計画を練りつつ、状況が整うことを待つのが現状である。
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Causes of Carryover |
当初の計画から研究の実施場所が変更になったことに伴い、研究の開始に遅れが生じてしまったことに加えて、データの分析に予想以上に時間がかかってしまったことにより、今後の計画が若干後ろ倒しになってしまったことが主な理由である。加えて、コロナウイルスの影響により、予定していた海外出張が中止となってしまったことも重なり、次年度使用額が生じてしまった。それらの資金は、残ったデータの分析、論文の執筆、そして調査協力者への謝金に使用する予定である。
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Research Products
(5 results)