2020 Fiscal Year Research-status Report
英語を話す意欲を向上させる条件 -日本語使用に焦点を当てて-
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17K02990
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Research Institution | Ryukoku University |
Principal Investigator |
今野 勝幸 龍谷大学, 社会学部, 講師 (00636970)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
山口 篤美 名城大学, 外国語学部, 講師 (10749469)
古賀 功 龍谷大学, 先端理工学部, 准教授 (90528754)
TWEED Andrew 創価大学, ワールドランゲージセンター, 講師 (30788823)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | 動機づけ / 会話意欲 / WTC / 個人差要因 / 混合研究法 |
Outline of Annual Research Achievements |
2020年度は、新型コロナウィルスの影響により計画通りに研究を進めることが困難な状況となったが、現在までの研究結果を下記にまとめる。本研究の調査では特性的なWTCと不安に加えて、英語母語話者との会話における学習者の状況的なWTCの変動、及び会話後に行われたインタビューによるデータを分析することで、会話中にWTCが変動する要因についての示唆を得ることを目的としている。まず、特性的なWTCと状況的なWTCの変動パターンには特徴的な関係性が見られなかった。例えば特性的なWTCが低く不安が高いからと言って、会話中にWTCが必ずしも低くなるわけではない可能性が示された。また、状況的なWTCが高まると発話数が多い傾向にある一方、熟達度が低い学習者は同じ発言を繰り返したり、フィラーが多くなったりするなどの現象が見られ、WTCの低下に繋がっていたことがわかった。WTCが変動する原因をまとめると、Kang (2005)が提唱する状況的なWTCに影響を与える3つの要因であるSecurity, Excitement, Responsibilityのうち、日本人英語学習者にはSecurityが最も重要な役割を果たす可能性が示唆された。特に、自分が自信を持って話せない場合や、聞き手の反応に不安を覚えた場合などに脅威や不安を感じ、WTCが最も低下する要因の一つとして挙げられた。一方で、逆の場合はWTCの向上につながる傾向が見られた。上記で述べたように熟達度を原因として低下する現象も見られるが、その場合でも上記のような状況でない限り、WTCは比較的低くなりにくいことがわかった。今後、更に分析を進めて、会話中のWTCの変動についてより多くの示唆が得られると期待される。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
4: Progress in research has been delayed.
Reason
現在は、会話中のWTCに影響する要因を更に詳細に検証するために、引き続きデータの分析を進めている。さらに、新たに別の学習者も分析に加える予定である。WTCに影響する要因の検証には質的分析の手法を用いるため、より豊富な情報を用いての分析となり、より深みのある成果を出せると考えている。一方、昨年度は新型コロナウィルスの影響により、授業がオンラインへと移行することに伴い研究計画に大きな変更を強いられることになった。昨年度中に終わらせるはずの分析が思った以上に進まず、もう少し時間が必要な状況にある。現在もまた対面に戻った授業がオンラインに戻るなど混乱を極めているが、昨年度よりも状況は良いため、急いで分析を進めたい。
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Strategy for Future Research Activity |
まずは、追加となった学習者のデータを加えた分析を進め、会話中のWTCに影響する要因の研究を完了させることが目下の目標である。昨年度から続く新型コロナウィルスの影響により、引き続き、教育・研究の環境に混乱が生じてしまっており、新しく調査等を開始することが困難な状況になっている。しかし、状況が許せば、本研究の結果を踏まえての新たな調査を行いたいと考えている。本分析では、日本人英語学習者が英語母語話者と会話をするときのWTCに着目した。より多くの示唆を得るためには、会話の中で用いたトピックを調整する必要がある。具体的には、Securityが状況的なWTCに影響するとするならば、背景知識があるトピックが与えられた場合(高Security)とそうでない場合(低セキュリティ)のWTCの変動とその影響要因を厳密に比較する必要があるだろう。また、英語母語話者とだけでなく、日本人学習者同士での英会話におけるWTCの変動も検証する必要がある。新型ウィルスの影響次第であるが、現在の分析を進めつつ、これらの調査を行えるかどうか、可能性を探る予定である。
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Causes of Carryover |
新型コロナウィルスの影響により、授業のオンライン化への対応や、調査の実施が不可能になるなどの要因が重なり、研究に予想以上の遅延が生じたためである。これに伴い、物品の購入や研究発表に伴う出張の取りやめなどによって次年度使用額が生じる結果となった。今年度も新型コロナウィルスの影響が続くが、研究の状況は改善しつつあるので研究に邁進したい。
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