2021 Fiscal Year Research-status Report
英語を話す意欲を向上させる条件 -日本語使用に焦点を当てて-
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17K02990
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Research Institution | Ryukoku University |
Principal Investigator |
今野 勝幸 龍谷大学, 社会学部, 講師 (00636970)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
山口 篤美 名城大学, 外国語学部, 講師 (10749469)
古賀 功 龍谷大学, 先端理工学部, 准教授 (90528754)
TWEED Andrew 創価大学, ワールドランゲージセンター, 講師 (30788823)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 動機づけ / WTC / 会話意欲 / 個人差要因 / 混合研究法 |
Outline of Annual Research Achievements |
2021年は前年度に引き続き、調査への参加者を募り計画通りに研究を進めるには非常に厳しい状況となった。計画通りに進まず限られた範囲での研究になるが、このような状況の中で得られた研究成果を報告する。まず、1点目は、WTCが高まる要因と低下する要因についてである。ペアでの英会話の最中にWTCが高まる要因としては「楽しさ」「相手の存在」「義務感」が共通して挙げられた。特に相手の存在については一貫して前年度までの研究でもWTCに影響する要因の一つとして明らかにされており、会話相手の反応や態度、また自身の言動が及ぼす相手への影響を意識することは、これまでの特に海外での先行研究では見られなかった日本人英語学習者のWTCの変動に影響を及ぼす特異な要因であると考えられる。一方、WTCが低下する要因としては、自らの能力や会話に対する「不安」であることが示された。WTCが向上した学習者にもこれらの不安は見られたが、「自分の実力を試す」「日本語で話すときとは違う雰囲気を楽しむ」などの前向きかつ気楽な気持ちで会話に臨むことで能力に対する不安からの影響を最小限に抑えている様子が伺えた。2点目については日本語の使用であるが、上記のような英会話中の不安を感じていても必ずしも日本語による支援がWTCに良い影響を及ぼすとは言えないことがわかった。特にWTCの高い学習者の場合、英語が中心的に使われている環境において日本語による支援が頻繁にあると、WTCの低下に結びつく可能性がある。これらの2点から、日本人同士が教室内で英会話をする際には、相手への発話等に積極的に反応を示す必要があること、そして、英会話の最中に日本語で支援をする際には、学習者のWTCを考慮する必要性があることが示唆された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
4: Progress in research has been delayed.
Reason
2020年度に引き続き、2021年度も新型コロナウィルスの影響により授業は後期の途中までオンラインとなってしまったため、調査への参加者を募ること、そしてデータの収集が困難になってしまった。加えて、対面授業が再開しても学内業務の多くをオンライン対応に切り替える大規模な作業を担当する委員であった影響により、研究を計画通りに進めるには非常に困難な状況であった。必要であった個別のインタビューを実施できないなど精緻な分析に必要なデータを揃えることができなかったが、そのような状況の中である程度研究を進めることはできた。現在は状況がかなり改善してきているため、そのデータを分析して、その結果を踏まえながら次年度は研究のペースを大幅に上げていきたい。
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Strategy for Future Research Activity |
まず、2021年度に収集できたデータをより深く分析を行い、その結果を更に踏まえながら日本人英語学習者の英会話中のWTCの変動とその変動に与える影響要因をより精緻に分析する。2021年度は日本人同士の英会話を対象にアンケートのみを用いた調査であったため、変動に与える影響要因について深く分析することができなかった。そのため、個別のインタビューなどを実施して、量的、質的の両面から詳細に分析し、変動の様相を深く記述できるようにしたい。また、これまでは英語母語話者と日本人英語学習者、日本人英語学習者同士、というペアでの会話の最中のWTCに焦点を当てて調査を行ってきたが、グループでの会話の最中のWTCの分析を行いたい。これにより、ペアを対象とした研究で浮かび上がった問題点を解消し、新しい見解を得られると考える。
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Causes of Carryover |
2020年度に引き続き、2021年度も新型コロナウィルスの影響により、研究を計画的に進めることができなかったためである。これに伴い、物品の購入や研究発表に伴う出張の取りやめなどによって次年度使用額が生じる結果となった。状況が改善しているであろう次年度は、研究計画に沿って適切に使用したい。
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[Presentation] Thinking About Effective and Motivating Teaching in a Japanese EFL Environment2021
Author(s)
Sato, R., Kasahara, K., Tomita, F., Takano, H., Konno, K., & KOGA Tsutomu
Organizer
中部地区英語教育学会