2023 Fiscal Year Annual Research Report
Research to explore the mechanisms of focus-on-form and development of learning activities for Japanese college learners of English
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17K02996
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Research Institution | Kansai University |
Principal Investigator |
名部井 敏代 関西大学, 外国語学部, 教授 (20368187)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
吉澤 清美 関西大学, 研究推進部, 非常勤研究員 (80210665)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | 第二言語教育 / フォーカス・オン・フォーム / ランゲージング / 協働ライティング / 学習者意識 / 社会文化理論 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では、「フォーカス・オン・フォーム」を、活動の主体者視点を重視する社会文化理論の枠組みから捉え直し考察を深めてきた。「フォーカス・オン・フォーム」という概念は、第二言語学習に向けた指導中のメタ言語的意識の操作を意味しており、社会文化理論の枠組みでのメタ言語的意識の喚起・高揚方法として、この理論が重視する学習者同士の対話、つまりランゲージングが妥当と考え、それを用いた指導の構築を模索してきた。 受動的・能動的いずれの言語スキル指導においても応用ができるような「フォーカス・オン・フォーム」の機会は学習者同士の対話の場と考えられた。そこで、本研究では学習者にピア協働ライティング活動を課しランゲージングを通じた「フォーカス・オン・フォーム」の発現を試し、学習者の自発的な「フォーカス・オン・フォーム」にむけた「活動導入ガイド」の構築を目指した。 導入した「テーマ基盤のピア・ライティング活動」は各自を学習言語に目を向けさせることには寄与した。しかし、ランゲージングの程度には個人差があり、クラス内の学習者に一様に働きかけるガイドの構築には至らなかった。「学習言語の焦点化」それ自体が社会文化理論(活動理論)の言う「活動」にあたると考えられ、個人差のある学習者の、動的な意識に外部から働きかける方法の考察という課題が残った。 なお本年度は、リーディング活動中の辞書検索行動も学習者の主体的な「フォーカス・オン・フォーム」行動の一つと考え、副次的な共同研究に携わった。電子辞書とスマホ(無料辞書アプリ)を用いてTOEICの語彙・文法問題に取り組むときの、学習者個人内の意識(e.g., 内容読解や検索語彙の選択)を刺激再生法を用いて収集し、分析した。その結果、学習者の検索行動には、対象となる言語と意味理解だけでなく、それまでの辞書使用経験なども影響していることが明らかになった。
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