2021 Fiscal Year Research-status Report
Effects of personality on the nonverbal behavior and emotional display under cross-cultural communication context.
Project/Area Number |
17K02997
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Research Institution | Hannan University |
Principal Investigator |
曹 美庚 阪南大学, 国際コミュニケーション学部, 教授 (30351985)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 感情伝達 / 接触チャネル / 異文化 / 外向性 / 非言語コミュニケーション / 感謝 |
Outline of Annual Research Achievements |
感情伝達における非言語チャネルの使用について,北米で行われた先行研究の知見を踏まえ,接触チャネルの使用における日本と韓国の文化的相違を明らかにすることを研究の目的とした。12感情の伝達における非言語チャネルの使用行動に関する日本と韓国の大学生を対象とした実験の分析結果,非言語チャネルの使用行動に日韓間で明らかな相違が認められた。 感情伝達時の非言語チャネルの使用については,認知的に優先する「選好チャネル」と,実際の感情伝達において行動的に用いる「主チャネル」という2つの側面から分析が行われた。 分析の結果,日本では愛と同情の2つの感情,韓国では同情の感情において,接触チャネルが「選好チャネル」かつ「主チャネル」であることが確認された。韓国の場合,愛と感謝の感情において,主チャネルが2つ(接触チャネルと顔チャネル)という結果が出ており,同情の感情同様,愛と感謝の感情においても,接触チャネルが「選好チャネル」かつ「主チャネル」であることが明らかとなった。 各感情の主チャネルを確認した先行研究のApp et al.(2011)では「感謝」の感情が扱われていないものの,日韓の異文化間コミュニケーションでは重要な感情であると考え,「感謝」の感情が追加された。この「感謝」の感情伝達において,日本では身体チャネルが,韓国では接触チャネルが認知的に選好され,行動的にも韓国では接触チャネルが多用されていることから,「感謝」の気持ちを伝え合う際にミス・コミュニケーションが起こる可能性がとりわけ高いといえる。そのため,日韓間の異文化コミュニケーションにおいて「感謝」の感情を伝え合う際には,両国において主チャネルが異なることを認識するとともに,互いの感謝表現に関する十分な理解が求められる。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
新型コロナ禍状況で,リモート授業の準備や本務校での学部統合に伴う仕事等により,研究に取り組む時間が十分に確保できなかった。
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Strategy for Future Research Activity |
実験で得たデータをより詳細に分析する必要があり,次の段階において,特に「感謝」の感情の表現方法について,より精緻な実験デザインを用いた検討が必要であると考える。韓国ドラマ等での感謝の表現からは,「肯定的な感情としての感謝」の表現のみならず,「負債という否定的な感情としての感謝」の表現においても接触チャネルが多用されているようにうかがえることから,感謝の感情については,より精緻な実験デザインによりさらなる検証を行う必要がある。
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Causes of Carryover |
新型コロナ禍状況で,リモート授業の準備や本務校での学部統合に伴う仕事等により,研究に取り組む時間が十分に確保できなかった。新型コロナ禍状況下で実験室実験の実施ができない可能性を鑑み,研究の限界を補えるような工夫として,Web調査や関連資料の購入などを検討している。
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