2018 Fiscal Year Research-status Report
グローバル・シティズンシップの模索-日比の異文化コミュニケーションからの考察-
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17K03001
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Research Institution | Nanzan University |
Principal Investigator |
森泉 哲 南山大学, 国際教養学部, 教授 (60310588)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | グローバル・シティズンシップ / 日本 / フィリピン / 英語教育産業 / NGO / NPO / 異文化コミュニケーション |
Outline of Annual Research Achievements |
平成30年度では、フィリピンのセブ島での英語学校ならびにNGO・NPOにインタビューを行い、グローバルシティズンシップをどのように捉えることができるのか、昨年から継続して調査を行うことを通して、グローバル社会における異文化コミュニケーションのありかたを日比の文脈から検討するものであった。 平成30年8月に英語学校を訪問し、フィリピン人英語教師5名から、日本とフィリピンの関係、日本人生徒への信念・意識、フィリピンとグローバル社会の関連、文化アイデンティティ等についてインタビューを行うことができた。その結果、当初の予測どおり、西欧の支配構造がフィリピンでも見られ、英語話し手としてそれをビジネスにできているという自負と特権を享受している一方で、フィリピンの英語学習を欧米圏の留学の準備として位置づけ、英語上達の一つの手段としてしか見ていない日本人学生の留学目的や教師との関係性に失望するというアイデンティティのダイアレクティックスがみられていることの一端が明らかとなった。今後さらにデータを収集することで、別の側面やグローバル・シティズンシップという視点から、英語教育産業の文脈においてどのようなコミュニケーションのありかたが可能か検討を加えていく。 NGO・NPOとの関連では、昨年度に引き続き3月にコミュニティ開発に取り組むNGOを訪問し、その活動内容についてインタビュー調査を行った。本NGOはフィリピン国内を対象としているため、今後は、日本人が活動している組織も検討し、日本人がフィリピンで働くというポジショナリティを検討するとともに、シティズンシップの在り方を検討する。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
2年目にあたる今年度はフィリピンのNGO、英語学校の教師に対するインタビュ―とともに、日本人を対象とした多文化意識を調査する質問紙調査を予定していた。しかし、今年度は予想していなかった本務校の職務が重なり、予定どおりに研究を行うことができなかった。しかし、現地調査を行ったことによって、来年度はフィリピン人英語教師へのインタビューを行うことのできる見通しが立った。このことは大きな収穫であった。 研究3年目は、研究を進め、日比の異文化コミュニケーションおよびグローバル・シティズンシップのありかたについて、インタビュー調査ならびに質問紙調査を実施し、検討する。
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Strategy for Future Research Activity |
3年目にあたる今年度は引き続きフィリピン・セブ島でインタビュー調査を行う予定である。幸い、現地でのネットワークを昨年までの滞在で拡充することが可能となり、インタビューへの人数の見通しがたった。また、このネットワークを使用して、日本人が働くNGOへの参与観察も可能になる見込みである。研究を推進するために、現地調査で得られたネットワークを利用するとともに、研究の理論的補強をするために、文献調査や資料収集を精力的に行っていく。
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Causes of Carryover |
フィリピンへの現地調査の際に、知人の厚意で関係施設に滞在することができ、宿泊費が抑えることができたため、余剰金が発生し、次年度に繰り越すことができた。その分次年度以降は、滞在期間の延長、複数回の訪問をすることによって、現地調査を精力的に進め、研究結果公表にむけて研究を進める。
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Research Products
(2 results)