2019 Fiscal Year Research-status Report
グローバル・シティズンシップの模索-日比の異文化コミュニケーションからの考察-
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17K03001
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Research Institution | Nanzan University |
Principal Investigator |
森泉 哲 南山大学, 国際教養学部, 教授 (60310588)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | グローバル・シティズンシップ / 日本 / フィリピン / 英語教育産業 / NGO / NPO / 異文化コミュニケーション |
Outline of Annual Research Achievements |
研究期間4年間のうちの3年目となり,これまでの研究の柱としていた,(1)フィリピンへのフィールドワークの研究, (2) 英語教育産業とグローバルコミュニケーションの理論的研究,(3)グローバル・シティズンシップに関する研究の3点から研究を進めた。 まず,フィールドワークでは,今年度2回フィリピン・セブを計5週間訪れ,貧困から抜けだすことのできたコミュニティに滞在し,現地の人々の暮らしを観察するとともに、複数の家庭に対してインタビューを行った。またボランティア団体2団体を見学し,現地の子供たちの教育や経済的支援を行っている意義や困難さについて理解を深めた。さらには英語学校のフィリピン人講師約20名にインタビューを行い、日本人学習者との異文化コミュニケーションや教師自身がどのようにグローバリゼーションを日常的に捉えているのか,自身のアイデンティティについて調査を行った。 次に,英語教育産業とグローバル・コミュニケーションに関する研究では,セブ留学をPRしている言説に対して,グローバル・コミュニケーションの視点から批判的に考察を行った論文をまとめた。特に,現在はフィリピンで英語学習を行う価値が欧米留学と比較した際の費用対効果のみが宣伝される状況に対して,社会正義を目指したグローバル・コミュニケーションの視点から疑問を提示した。 グルーバル・シティズンシップに関しては、これまで質問紙調査によって収集したデータを分析し,学会で発表したほか,追加データを収集し,さらに大規模な調査による研究を行うことを計画した。グローバル・シティズンであると自認すると社会的参加も積極的に行われるという傾向が表れており,さらに他の概念との関連などについて検討を加えていく。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
フィールドワークを当初年度内に3回予定していたが,3月のフィールドワークの実施が,新型コロナウィルスの影響により,実現できず,予定していたインタビューおよび参与観察による調査が実施できなかった。また,インタビュー調査の結果をまだ十分分析が終了できておらず、結果を公表するところまで至っていない。
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Strategy for Future Research Activity |
これまでのインタビュー調査の結果を,次年度に公表できるようにデータをまとめ、分析するとともに,フィールドワークをさらに行い,これまでのインタビューの結果を再確認するとともに,研究の視点の妥当性について,さらに検討を加えていく。新型コロナウィルスの影響も本研究の進度に影響を与えるであろうが,その影響を注視しながら,できる対応をとっていく。
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Causes of Carryover |
3月に予定したフィリピンへのフィールドワークが新型コロナウィルスの影響で,中止を余儀なくされてしまったため,次年度使用額が生じることとなった。
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Research Products
(7 results)