2018 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
17K03005
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Research Institution | Yokohama National University |
Principal Investigator |
斉田 智里 横浜国立大学, 教育学部, 教授 (50400594)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | 英語教育 / 学習到達目標 / 垂直尺度化 / パフォーマンス評価 / Can-doリスト |
Outline of Annual Research Achievements |
平成30年度研究課題は、「Can-do表示による学習到達目標の垂直尺度化による妥当性の検証」であった。国内外の教育測定に関する先行研究を調査する中で、論証に基づく妥当性検証の方法が言語テスト研究に多く適用されていることがわかった。そこで、大学入試センター試験英語問題を対象にして、論証に基づく妥当性の検証を試みた。得点化・一般化・説明・外挿・決定・波及効果という論証の枠組みを設定し、各段階において妥当性の検証を積み重ねていった。その結果、プラスの証拠を多く提示することができ、マイナスの証拠に対しては学校教育現場での対応が可能であることが示唆された。 英語科の学習評価における形成的評価と総括的評価の有機的な組み合わせにより、生徒の学習状況をより詳細にバランスよく把握する方法を検討した。具体的には、「Can-do表示による学習到達目標」と「単元の観点別評価規準」を年間指導計画としてまとめ、「観点別の目指す姿」を一覧にして、学期当初に「評価ポートフォリオ」として生徒一人一人に示した。学期中にはテストや課題の評価結果、相互評価、自己評価、学習の振り返りなどの全ての評価情報を「評価ポートフォリオ」に貼付け、生徒と教師の間で共有した。評価ポートフォリオの活用により、学習状況の客観的かつ正確な把握が生徒と教員との双方で可能となり、学習改善に活かすことができた。小中高の接続を円滑に進めるための学習評価のあり方をテーマに、現職教員対象にした教員免許状更新講習で講師を担当した。学習指導要領に基づいた各学校でのCan-do表示による学習到達目標の設定および観点別学習状況の評価の具体的な方法について実践的な講習を行った。中学校・高等学校英語科の教員向けに、学習評価のあり方・進め方について、新刊『「学ぶ・教える・考える」ための実践的英語科教育法』(2018年12月発行大修館書店)の第9章にまとめた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
交付申請書に記載した内容については、おおむね実施することができた。
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Strategy for Future Research Activity |
平成31年度の計画:垂直尺度化された学習到達度評価と英語テストのIRT尺度値との対応づけ 1. 引き続き,国内外の教育測定や教科教育の垂直尺度化に関する研究を調査する。2. 研究補助・資料整理,データ分析補助の大学院生を引き続き雇用する。 3. 平成30年度の方法を用いて,既存のテスト項目とCan-doリストとの対応づけを行う。4. 高校1年生から大学1年生にかけて継続して英語力の調査を行った既存のデータを用いて,4年間の英語力の変化を共通尺度上でトレースする。IRTスコアとCan-doリストとの対応付けができている ので,4年間でできることがどのように変化をしてきたかを垂直尺度上で明らかにする。垂直尺度化の精度を検討する。 5. 平成30年度の研究成果を学会発表用及び学会誌論文投稿用にまとめる。
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Causes of Carryover |
海外出張する時間が校務との重なりで2年間連続でとれなかった。英文校閲の謝金の支払いまでには投稿論文が完成しなかった。 最終年度は、2回の国際学会での研究発表及び4回の国内学会での発表・参加を予定している。ならびに、投稿論文の英文校閲の謝金も予定している。
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