2020 Fiscal Year Research-status Report
英語教師の省察を促す「授業研究」の機能とあり方に関する研究
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17K03006
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Research Institution | University of Toyama |
Principal Investigator |
岡崎 浩幸 富山大学, 学術研究部教育学系, 教授 (20436801)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
加納 幹雄 岐阜聖徳学園大学, 教育学部, 教授 (70353381)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | 授業研究 / 高校英語教師 / 省察レベル / 授業改善 / 教師の成長 / 教師の学び |
Outline of Annual Research Achievements |
研究成果は2つからなる。どちらの授業研究においても、参観中に付箋を持ち、生徒の学びが成り立ったと考えられることに関する気づきを青の付箋に、学びが成り立っていないことに関するメモを赤の付箋にそれぞれ記入し、協議会ではメモを基に各グループですべての参観者は2分程度語ることになっていた。 1つ目の研究は年2回の授業研究の経験が高校英語教師の参観の仕方や省察方法や内容にどのような影響を与えるのかを探究した。その結果、高校教師は参観において教師の教え方だけでなく、生徒の学びの姿(言動や戸惑う様子)にも注目していることが分かった。ただ、授業の事実に基づく解釈や代案の提示などはまだ十分に行われているとは言えない状況であった。また、授業研究を通して授業改善への意識は高まったものの実際の授業への活用には高いハードルがあることも分かった。2つ目の研究は4つの高校で行われた授業後協議会に参加した16名の英語教師の発言をもとに分析結果を報告する。協議会で扱われたテーマや発言内容から教師の教え方だけでなく、タスクに取り組む生徒の様子にも焦点を当てていることが分かった。また、教師の発言(省察)を3つのレベルに分けて分析した結果、授業で起こったことを単純に描写しているレベル1のコメントは42.4%を占め、描写だけでなくその理由や解釈も加えているレベル2は48.5%、状況を分析し妥当な代案を提示しているレベル3が9.1%でより高い省察レベル(2,3)に達しているコメントが57.6%を占めた。今回の授業研究の試みが教師の授業改善や成長に寄与する可能性が示唆された。 このような授業研究の機会を年数回設け、省察が促される協議会のシステムを構築することで、高校英語教師の授業改善や成長に結びつくことが分かってきた。今後は別の高校で行われた授業研究のデータを分析し、教師の学習と授業改善、力量形成との関係を探求する。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
4: Progress in research has been delayed.
Reason
コロナのため、研究の中心である高校における授業研究が行われなかった。またそれに伴い、国内学会および国際学会で研究発表や論文作成が十分に行うことができなかった。
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Strategy for Future Research Activity |
授業研究における教師の学びや省察レベルについてこれまでの研究で分かったことを踏まえ、次年度、別の高校で行った授業研究のデータを質的方法(SCAT)を用いて、高校英語教師の授業研究における学習内容や省察のレベルを分析し、これまでの研究結果と比較する。
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Causes of Carryover |
コロナの影響で高校における授業研究ができずその成果を海外で発表できなかった。今後、海外か国内の発表および論文作成に使用する。
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Research Products
(2 results)