2017 Fiscal Year Research-status Report
英語重視と母語保持・外国語教育の拡大ーシンガポールからの学び
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17K03012
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
郭 俊海 九州大学, 学内共同利用施設等, 教授 (20377203)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | シンガポール / バイリンガル教育 / 英語重視 / 母語維持 / 外国語教育の拡大 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の目的は、シンガポールのバイリンガル教育政策の歴史的変遷を考察し、英語重視と母語維持とのバランスがどう保たれているか、なぜ多様な外国語教育が必要なのか、国民に多様な外国語を学ばせる利点と目的は何かなどを明らかにし、日本やアジア諸国における英語教育や多言語教育への示唆を提示する、ことである。 まず、スムーズに資料収集を行うために、研究協力者との情報・意見交換会を通じ、近年のシンガポールにおけるバイリンガル教育と外国語教育拡大の政策の動向を把握した。 次に、勤務校の休業期間中に、研究代表者(郭)は、シンガポールに渡航・滞在し、シンガポールのバイリンガル政策の歴史的変遷と近年の言語政策に関する資料収集を進めてきた。資料収集は、シンガポール国立大学図書館、シンガポール国立図書館、南洋理工大学国立教育学院に所蔵されている、政府機関が発行する白書・報告書、各種統計データ、新聞記事、政府要人のスピーチ、学術ジャーナル及び学術専門書を対象とした。また資料収集の過程の中で、研究協力者と意見交換を密に行いつつ、次年度に行う予定の質問紙調査やインタビュー調査の内容・対象・時期及び実施方法について確認した。 これまでに実施した現地調査の情報や、現地の研究協力者や専門家から得られた情報に対する整理や分析を継続し、その成果の一部をまとめ、今年度中にカナダや中国で開催される国際学会で発表を行う予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究課題の実施に先立ち、現地の研究協力者との間で密に情報交換を行った。特に、現地の研究協力者を招聘し、本研究の目的、研究計画や方法について丁寧に説明を行ったことと、研究協力者からの意見や情報を十分に把握したことが、短期間でよりスムーズな調査の実施に繋がった。
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Strategy for Future Research Activity |
今年度の目的は、英語と母語の使用状況及びそれぞれの言語への言語態度(言語観)、多様な外国語を学ぶ動機づけに関する質問紙調査とインタビュー調査を行う、ことである。 4月~9月までは、研究協力者の協力を得ながら、調査対象機関の授業期間中に、中高生や大学生を対象に、英語と母語の使用現状及びそれぞれの言語への言語態度(言語観)について、質問紙調査を実施する。次に、データ整理を行い、その結果を研究協力者に報告し、専門家や協力者の意見やフィードバックを得る。そして必要に応じ追跡調査を実施するなどして、研究後半の計画・方向修正を行う。 10月~2019年3月までは調査対象機関の中高生や大学生を対象に、英語と母語の使用現状及びそれぞれの言語への言語態度(言語観)に関する半構造型インタビュー調査を実施する。そして、データ整理を継続し、必要に応じて追跡調査を行う。研究結果を研究協力者に報告し、専門家や研究協力者の意見やフィードバックを得る。
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Causes of Carryover |
当初の予定では、初年度に、現地の異なる機関の研究協力者を2名招聘し、研究打ち合わせを行うこととしていた。しかし、そのうち、1人の研究協力者の都合により、研究打ち合わせは次年度に変更せざるを得なかった。以上の理由により、翌年度分として請求し、助成金と合わせて使用する予定である。
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