2019 Fiscal Year Research-status Report
英語重視と母語保持・外国語教育の拡大ーシンガポールからの学び
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17K03012
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
郭 俊海 九州大学, 留学生センター, 教授 (20377203)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | シンガポール / バイリンガル教育 / 英語重視 / 母語維持 / 外国語教育の拡大 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の目的は、シンガポールのバイリンガル教育政策の歴史的変遷を考察し、英語重視と母語維持とのバランスがどう保たれているか、なぜ多様な外国語教育が必要なのか、国民に多様な外国語を学ばせる利点と目的は何かなどを明らかにし、日本やアジア諸国における英語教育や多言語教育への示唆を提示する、ことである。 まず、研究協力者と、メールや電話による情報・意見の交換を通じて、近年のシンガポールにおけるバイリンガル教育と外国語教育拡大の政策の動向の把握・分析を継続した。また研究協力者に研究代表者の勤務校まで出張してもらい、本年度と次年度に行う予定の質問紙調査やインタビュー調査の内容・対象・時期、実施方法及び実施の段取りについて、確認と意見交換を行った。 さらに、これまでに実施した現地調査の情報や、現地の研究協力者や専門家から得られた情報に対する整理や分析を行い、その成果の一部を、2018年8月カナダで開催された国際大会(Guo, J.H. 2018. 'The Bilingual Education and Foreign Language Policy in Singapore’, LPP2018:Multidisciplinary Approaches in Language Policy and Planning Conference 2018", University of Toronto)、2019年11月に韓国で開催される国際学術大会(郭俊海・陳連冬, 2019「シンガポールの言語政策と日本語教育ー日本の外国語教育への示唆ー」第四回日本語・日本文化国際学術大会、建国大学、ソウル)で研究発表を実施し、研究者らと情報交換を行った。 現にデータの整理や分析を継続しつつ、学会発表で得たフィードバックや意見を踏まえ、学会誌への論文投稿や国内での学会発表の準備を進めている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
4: Progress in research has been delayed.
Reason
当初は、平成30(2018)年度に、研究代表者がシンガポールに渡航し、シンガポールの中高生や大学生を対象に、質問紙調査やインタビュー調査を実施する予定だった。 しかし、平成30(2018)年11月、2019年2月に、2度にわたる手術を受け、術後もしばらく安静休養が必要だったため、予定していた前述の調査は一旦中断せざるを得なかった。そのため、当初の計画に対して遅れている。 また、平成31(2019)年6月に研究活動を再開し、同年9月にシンガポールに渡航し、ナンヤン工科大学の現代言語センターの一部の学生を対象に調査を実施した。令和2(2020)年2,3中にシンガポールに渡航し、シンガポール国立大学やシンガポール教育省言語センターで調査を実施する予定だったが、新型コロナウイルスの影響で調査が一時中止になっている。 現在、研究協力者と研究再開後の調査実施に関する打ち合わせをしつつ、データの整理・分析を継続している
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Strategy for Future Research Activity |
上述の理由により、研究計画を一年遅らせて実施する。 今年度の目的は、英語と母語の使用状況及びそれぞれの言語への言語態度(言語観)、多様な外国語を学ぶ動機づけに関する調査を継続し、データの整理や分析を行い、学術誌への投稿や学会発表等で研究成果の報告を行う、ことである。 9月までには、研究協力者の協力を得ながら、調査対象機関(ナンヤン工科大学、シンガポール国立大学及びシンガポール教育省言語センター)の授業期間中に、大学生や中高生を対象に、質問紙調査を継続する。2021年3月までに、上述の調査対象機関の中高生や大学生を対象に、英語と母語の使用現状及びそれぞれの言語への言語態度(言語観)に関する半構造型インタビュー調査を実施する。そして、データ整理を継続し、必要に応じて追跡調査を行う。 調査の実施方法については、新型コロナウイルスの影響で予定している紙媒体のアンケート調査が困難な場合、オンライン調査に切り替える方法を検討する。 研究結果を研究協力者に報告し、専門家や研究協力者の意見やフィードバックを得る。調査の結果をまとめ、その一部を国内外の学会で研究結果を報告する。
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Causes of Carryover |
当初は、平成30(2018)年度中に、研究代表者がシンガポールに渡航し、研究協力者の協力のもと、シンガポールの中高生や大学生を対象に、質問紙調査やインタビュー調査を実施する予定だった。しかし、上述の手術、入院治療及び術後の安静休養が必要だったため、予定していた調査は一旦中断し、また平成31年度2,3月に予定していた調査が新型コロナウイルスの影響で中止となった。 前年度(2019年)に中断していた研究計画を本年度(2020年)に実施する。具体的には、1)9月までには、研究協力者の協力を得ながら、調査対象機関(ナンヤン工科大学、シンガポール国立大学及びシンガポール教育省言語センター)の授業期間中に、大学生や中高生を対象に、英語と母語の使用現状及びそれぞれの言語への言語態度(言語観)について、質問紙調査を実施する。2)2021年3月までに、上述の調査対象機関の中高生や大学生を対象に、英語と母語の使用現状及びそれぞれの言語への言語態度(言語観)に関する半構造型インタビュー調査及び追跡調査を行い、学会等で研究成果を報告する。
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