2021 Fiscal Year Annual Research Report
English emphasis, mother tongue maintanance and foreign language education: Learning from Singapore
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17K03012
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
郭 俊海 九州大学, 留学生センター, 教授 (20377203)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | 多言語教育 / 母語維持 / 外国語教育 / 英語教育 / 日本人大学生 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の目的は、シンガポールのバイリンガル教育政策の歴史的変遷を考察し、英語重視と母語維持とのバランスがいかに保たれているか、なぜ多様な外国語教育が必要なのか、国民に多様な外国語を学ばせる利点と目的は何かなどを明らかにし、日本やアジア諸国における英語教育や多言語教育への示唆を提示する、ことである。
本年度は、これまでに実施したアンケート調査や資料調査で収集したデータの整備・分析を継続しつつ、日本人大学生を対象とした、英語学習と英語教育に対する態度に関するアンケート調査及びインタビュー調査を実施した。その一部をまとめ、2021年12月に開催されたオンライン国際シンポジウム(20th Anniversary e-Symposium “The past connects, the present reflects, the future perfects...”)及び2022年3月に開催のオンライン「日本語日本文化国際学術大会」にて、それぞれ論文の口頭発表を行い、会議の参加者らと意見交換や討論を行った。
シンガポールは独立以来、英語と各民族の母語であるバイリンガル教育を国の生存・発展・繁栄の礎に据えつつ、初等、中等、高等教育及び社会人教育において多言語教育の拡大政策を推し進めている。その理由は「英語さえできれば全て良し」という英語一辺倒ではなく、グローバル化の進展とともに必要とされる多様な言語・文化背景を持ち、多面的な視点から複雑な地球規模の問題を解決できる国際的な人材の確保にあることが明らかになった。つまり、「英語+1,2ヶ国語」あるいは多様な言語が、人的資源しか持たないシンガポールが生き延びるために必要不可欠なリソースであると結論付けられる。このようなシンガポールからの学びは、少子高齢化に取り組み、多言語多文化共生社会の構築を推進している日本にとって参考になる点は多いと思われる。
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