2017 Fiscal Year Research-status Report
インタビュー音声コーパスの構築と言語学習に対する動機づけの解明
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17K03033
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Research Institution | Meijo University |
Principal Investigator |
中山 麻美 名城大学, 外国語学部, 講師 (00708125)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | 言語学習の動機づけ / 音声コーパス / インタビュー |
Outline of Annual Research Achievements |
大学生の短期留学前後での言語学習に対する「動機づけ」の性質的変化と、その長期的な「持続性」を明らかにするために、29年度は留学前の比較基礎データの構築を行った。主には5つのカテゴリーで構成される32問の言語学習に対する動機づけと英語読解に対する態度に関するアンケート調査及びインタビューを行った。アンケート調査は140名の大学1年生を対象とし、インタビューは6名の被験者を対象にそれぞれ3回実施した。 その結果、留学前に大学の授業を1年間受講することによって、Anxiety(英語を話すときに感じる不安)が減少することが統計的有意に明らかとなった。また言語学習の動機づけに強い影響を持つとされるIdeal L2 Self (将来の理想とする英語を使用している自分像)に関する項目では、有意な変化は見られなかった。これは留学する学生のほとんどが留学経験を有しておらず、英語を使用して生活する自分像を具体的に思い描くことができなかったからではないかと推測する。この点に関しては、留学経験がどのように変化を与えるかを注意深く観察し、時間の経過とともに言語学習に対する動機づけがどのように変化をするか、なぜ変化したのかの追跡調査を進めることを目指す。 また29年度の研究業績に関しては国際学会発表1件と論文投稿1件であった。主に統計分析結果を中心としたものであったが、30年度はインタビューデータの音声コーパス化を進め、質的分析を加えて発表を行いたいと考えている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
29年度は留学前後の言語学習に関する動機付けの変化を探るためのアンケート調査による量的分析を行い、留学前の比較基礎データを構築することができた。また質的分析では6名の学生に対してインタビューを行い、韻律情報(イントネーションやポーズの長さ)に加えて視線や頭部の動きなどの話し手の表現意図や感情に関与する非言語情報も付与する音声コーパス化の作業に移っているがまだ全て終了していない。しかし付与情報の項目を再度精査し、コーパス化するテキスト箇所を絞り込むことで作業効率を上げ解決する見込みである。
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Strategy for Future Research Activity |
30年度は29年度と同じ手法でデータ採取及び比較分析を行ない、言語学習に対する動機付けの具体的な要因の抽出を目指す。具体的には、留学後時間が経つにつれて徐々に生活のなかで言語学習の優先順位が下がり、動機づけが持続している参加者は少なくなっていくと予想される。このグループからは「動機づけ減少」の要因に関するデータを採取し、また動機づけが持続している学生に対しては留学後の過ごし方を中心にインタビューを行い、要因を特定する。その結果を基に留学後のフォローアップ制度のあり方を考える。 研究計画の変更点としては、31年度に行う予定であった研究協力者であるウオーリック大学のDr. Ema Ushiodaとの研究打合せを30年度に繰り上げて行うこととする。その理由として主にインタビューデータに付与された音声情報が適切であったかを議論し、微調整を行い、研究最終年度である31年度のより精査した音声コーパス構築を目的とする。
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Causes of Carryover |
1.統計ソフト研修への参加費の未使用 理由:育児中のため参加する時間を捻出できなかったため 2.インタビュー書き起こし依頼費の未使用 理由:インタビューの数が当初予定していた数より少なかったため、委託せず研究代表者が自ら作業を行ったため
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