2018 Fiscal Year Research-status Report
インタビュー音声コーパスの構築と言語学習に対する動機づけの解明
Project/Area Number |
17K03033
|
Research Institution | Meijo University |
Principal Investigator |
中山 麻美 名城大学, 外国語学部, 講師 (00708125)
|
Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2020-03-31
|
Keywords | 言語学習の動機付け / 音声コーパス / 短期留学 / インタビュー |
Outline of Annual Research Achievements |
平成30年度は短期留学に参加した学生の1年後における言語学習の動機付け変化を明らかにする為に、平成29年度の留学前に実施した同様のアンケートを行い、比較分析を行った。その結果、留学前と同様に「不安」という情緒的な要因が1年後においても学習動機付けに大きく関与していることが分かった。この情緒面の要因は、4技能の一つであるリーディングにも影響していることも量的分析で示唆された。量的分析として、短期留学前後1年間に同じ被験者約100人を対象にオンラインアンケートソフトウエアSurvey Monkeyで3回アンケートを実施し、統計ソフトSPSSを使用し、多変量解析を行った。 また情緒面の要因以外では「知的価値」についても、「不安」ほど顕著ではないが、若干の相関がみられた。短期留学を通して、何が「知的価値」の増加に関与したのかを探るために、現在インタビューデータの質的分析を試みている。 具体的な質的分析方法として、2~3人のグループを対象に留学前と同様の質問をインタビュー形式で実施し、被験者の発話内容を種類別に分けるコーディング作業を行った。その後、書き起こした留学前のインタビューデータの非言語の韻律情報、主に沈黙(ポーズ)に焦点をしぼり、長いポーズが取られた前後の被験者の発話内容を確認する作業に着手した。しかし、音声データの特徴上、音声波形を利用しポーズの長さを確認後、分析対象箇所を抽出するのに膨大な時間を費やしたため、内容の確認作業は予定通り進んでいない。今後は作業の外注化を視野に入れ、短期留学のインタビューの音声コーパス構築のプロトコルを完成させたい。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
インタビューの書き起こしは予定通り行えたが、その後の韻律情報(主にポーズ)の抽出作業が手作業であるため、膨大な時間を要したことに起因する。 今後は抽出作業を体系化しアノテーション(情報付与)作業を外注することで、作業の効率化を図る。
|
Strategy for Future Research Activity |
最終年度となる平成31年度は、前年度(平成29年度)から引き続き、短期留学生参加者を対象としたインタビューデータの音声コーパス構築化と運用を目指す。特に、被験者の発話内容とポーズの関係を明らかにし、言語学習に対する動機付けの変化をノンバーバルな視点からも分析を試みたい。その結果を従来のアンケート結果と比較しながら、短期留学参加者の言語学習に対する動機付けの変化要因を明確にしたいと考える。 前年度実現できなかった研究協力者である英国ウォーリック大学Centre of Applied Linguistics所属のDr. Ema UshiodaとDr. Steve Mannにアドバイスを得る為に渡英する予定である。質的研究を専門としている両者の協力は研究を進める上で有益であると考える。 また国際学会での発表および論文執筆を進め、国内外の研究者との意見交換の場を増やし、大学だけではなく中学校・高等学校の教育現場にも研究結果を還元する場を設けたい。
|
Causes of Carryover |
平成29年度に予定していた研究協力者(Dr. Ema UshiodaとDr. Steve Mann)との英国Warwick大学での打ち合わせが延期になったため、大幅に旅費等の使用計画に変更が生じたことに起因する。 平成30年度に、延期になった英国での研究打ち合わせを9月に実施する予定である。
|