2017 Fiscal Year Research-status Report
「1960年代」の再検討:多様性と超域性の観点から
Project/Area Number |
17K03043
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Research Institution | Kinjo Gakuin University |
Principal Investigator |
大八木 豪 金城学院大学, 文学部, 講師 (20740129)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
幸田 直子 近畿大学, 国際学部, 講師 (30781091)
Schieder Chelsea 明治大学, 政治経済学部, 特任准教授 (80792978)
舟橋 健太 龍谷大学, 南アジア研究センター, 研究員 (90510488)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | 1960年代 / 超域性 / 社会運動 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究プロジェクトは、2017年7月31日に愛知県名古屋市で第一回目の会合を行い、お互いの研究と今後の活動方針について議論することによって、本格的に始動した。そして、そこで決定された方針に従い、研究代表者と研究分担者は、個々の研究に力点を置いて、プロジェクトに取り組んだ。研究代表者である大八木は、アメリカ合衆国カリフォルニア州にある、全米日系アメリカ人図書館、カリフォルニア大学バークレー校、カリフォルニア大学ロサンゼルス校でアジア系アメリカ人運動のアメリカ外交政策への介入のあり方とその後のアジア系アメリカ人による社会運動への影響に関する資料を調査し、分析を進めた。また、研究分担者の幸田は、主に、文献調査と並行して、国会図書館と大原社会問題研究所において資料収集・分析を進めた。また、日本とアメリカのベトナム反戦運動の間にあった越境的な繋がりについて、1968年に日本で開催された国際反戦会議と基地周辺の反戦活動に着目しながら、学術論文の出版と学会報告を行った。同じく研究分担者の舟橋は、インドのパンジャーブ州で、国際シンポジウムでの講演(招待講演)と、当地のダリト運動に関わる現地調査を行い、カルナータカ州では、当地の仏教運動のリーダーからの聴き取り調査を行った。そして、それらの成果の一部を書籍の分担執筆や学会報告という形で公開した。また、研究分担者のシーダーは、福岡県大牟田市における労働運動とその越境性に注目し、現地で資料調査を行った。また、アメリカ歴史学会年次大会において「グローバルな1960年代」と題された一連の複数のパネルを組織するとともに、学術論文を出版した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究プロジェクトは、1960年代の市民・社会運動を超域的(トランスナショナル)な手法を用いて検証するものである。特に、運動間の人的・思想的交流に焦点を当てながら、これまでの「1960年代」の研究では大きく取り上げられてこなかった運動や歴史的アクターを研究対象にすることによって、1960年代の多様性を捉え、無批判に受け入れられてきた時代区分を再検討することを目的としており、対象ごとの研究プロジェクトの複合体となっている。そして、アジア系アメリカ人運動、冷戦の政治的境界線を超越した学生運動、インド独立前後期に起こったダリト運動(「不可触民」解放運動)の1960-1970年代の展開、そして1960年代の新左翼運動と1970年代に高まった女性の運動という四つの研究対象に関して、個々の資料調査・聞き取り調査、そしてその成果の分析と発表が進んでおり、研究プロジェクト全体として見たとき、順調に推移していると言える。
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Strategy for Future Research Activity |
2018年度は、前年度に続いて、アジア系アメリカ人運動、冷戦の政治的境界線を超越した学生運動、インド独立前後期に起こったダリト運動(「不可触民」解放運動)の1960-1970年代の展開、そして1960年代の新左翼運動と1970年代に高まった女性の運動という個々の研究対象に関する調査・分析を進め、研究成果の発表を積極的に試みる。具体的には、まず研究プロジェクトの参加者全員による会合を夏期に開き、個々の研究についての報告と、プロジェクト全体の方向性についての確認を行う。そして、その結果を踏まえ、個々の研究の発展を図る。大八木は、引き続き、アメリカ合衆国カリフォルニア州において、アジア系アメリカ人に関するアーカイブで資料調査をし、その成果を学術論文という形でまとめる。幸田は、ベトナム反戦運動の資料(立教大学所蔵)を基に、アメリカ兵による日本におけるベトナム反戦運動についての論文の執筆を行う。また、舟橋は、インドで現地調査に行い、1960年代からのダリト運動の展開を考慮に入れつつ、現在のインドの政治状況下で、ダリト運動が直面する課題について検討を加える。そして、シーダーは、アメリカ合衆国カリフォルニア州にあるカリフォルニア大学バークレー校で、ベ平連参加者の資料調査を行うとともに、三つの国際会議で報告を行う。
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Causes of Carryover |
研究分担者であるシーダーの海外調査の延期が、次年度使用額が生じた理由である。そして、その原因として、国際民主婦人連盟関連資料の調査を予定していた中央ヨーロッパ大学のアーキビストの助言により、国会図書館とアジア女性資料センターにおけるアーカイブの調査を先に行ったほうが効率の良いことが判明したことがあげられる。また、それに加え、子供の誕生により、2018年1月までは、宿泊をともなう調査が困難になったことも原因としてあげられる。これらの次年度使用額は、今後の研究の推進方策にもあげたように、海外での資料調査によって使用する予定である。
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Research Products
(9 results)
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[Book] Rethinking Social Exclusion in India2017
Author(s)
Kenta Funahashi, Akio Tanabe, Ayako Iwatani, Kazuya Nakamizo, Anderson H. M. Jeremiah, Abhijit Dasgupta, Rita Banerjee, Makiko Kimura, Michael Heneise, Arko Longkumer
Total Pages
186
Publisher
Routledge
ISBN
9781138282179
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[Book] The Global Sixties: Conventions, Contests, and Countercultures2017
Author(s)
Chelsea Szendi Schieder, Tamara Chaplin, Jadwiga E. Pieper Mooney, Burleigh Hendrickson, Nick Rutter, Milinda Banerjee, Steffen Bruendel, Patrick Iber, Todd Shepard, Alejandro Gomez-del-Moral, Jing Jing Chang, Gabriela Aceves Sepulveda, Karen L. Ishizuka, Jerome Bourdon, Maha Nassar, Marvin Menniken
Total Pages
302
Publisher
Routledge
ISBN
9781138709485