2019 Fiscal Year Research-status Report
「1960年代」の再検討:多様性と超域性の観点から
Project/Area Number |
17K03043
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Research Institution | Kinjo Gakuin University |
Principal Investigator |
大八木 豪 金城学院大学, 文学部, 講師 (20740129)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
幸田 直子 近畿大学, 国際学部, 准教授 (30781091)
Schieder Chelsea 青山学院大学, 経済学部, 准教授 (80792978)
舟橋 健太 龍谷大学, 社会学部, 講師 (90510488)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | 1960年代 / 超越性 / 社会運動 |
Outline of Annual Research Achievements |
2019年度、本研究プロジェクトでは、研究代表者・研究分担者ともに、個々の研究の推進に努めた。ただし、研究分担者の幸田は、産休・育休取得にともない、研究を中断した。また、これにより、2020年2月に予定されていた、個々の研究成果を持ち寄り、議論するためのプロジェクト全体を総括する研究会の開催も2021年2月まで延期することにし、研究期間も1年間延長することにした。個々の研究について述べると、研究代表者 である大八木は、アメリカ合衆国カリフォルニア州にあるカリフォルニア大学ロサンゼルス校で、1960年代から1970年代のアジア系アメリカ人の社会運動に関する資料を調査・収集し、アジア系アメリカ人の1960年代のアイデンティティ形成と国際主義の発展との関係についての研究を進めた。また、研究分担者 のシーダーは、トランスナショナルな女性運動の分析を行うためにドイツやオーストリアで資料調査・収集を行うとともに、若者や女性よるトランスナショナルな社会運動に関する論文の出版と口頭発表を行なった。そして、舟橋は、北インドにおけるダリト運動の史的展開と現状について、主に文献に基づく研究を進め、その成果の一環として、国際会議における発表を行い、書籍にも寄稿した。このように、大八木、シーダー、舟橋の個別の研究は大体のところ計画通り進んだが、産休・育休取得というやむを得ない理由により、幸田の研究が中断することになり、プロジェクト全体の総括も2020年度に持ち越されることになった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
研究実績の概要で述べたように、研究分担者の幸田が、産休・育休取得にともない、個人研究を中断せざるを得なかったことがその理由として挙げられる。そして、前述したように、2020年2月に予定されていた、プロジェクト全体を総括する研究会の開催も2021年2月まで延期することになり、研究期間も1年間延長されることになった。他方、大八木、シーダー、舟橋の研究は、概ね計画通り進んでいる。
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Strategy for Future Research Activity |
2020年度は、前年度に続いて、1960年代から1970年代にかけてのアジア系アメリカ人運動、冷戦の政治的境界線を超越した学生運動、インド独立前後期に起こったダリト運動(「不可触民」解放 運動)の1960-1970年代の展開、そして1960年代の新左翼運動と1970年代に高まった女性の運動という個々の研究を進め、研究成果の発表 を積極的に試みる。また、個々の研究の成果をプロジェクト全体の成果としてまとめていくために、それぞれの領域における研究史の整理も進める。そして、2021年2月に、個々の研究成果について議論するとともに、1960年代研究の現状について総括するための研究会を開催する。個別の研究計画について述べると、大八木は、新型コロナウイルス感染症の状況が許せば、アメリカ合衆国カリフォルニア州において、アジア系アメリカ人に関する一次資料の調査を行う。幸田は、同様に状況が許せば、アメリカ合衆国ハワイ州で、1960年代に広く日本の学生に読まれ新左翼の思想に影響を与えた書籍や戦後社会運動によって生み出された資料を調査する。また、舟橋も現地の状況が許せば、北インドに赴き、ダリト運動の現況について調査を行うと同時に、文献渉猟により、近現代インドにおけるダリト運動の展開とその特徴に関する分析・考察を進める。シーダーは、引き続きトランスナショナルな女性運動について研究を進める。そして、上記の研究会で、これらの個々の研究を総括してプロジェクトを締めくくる。
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Causes of Carryover |
主な理由としては、前述のように、2020年度に行う予定だった研究会の開催を次年度に持ち越したことで、各人の旅費などの予算も次年度に執行することになったことが挙げられる。また、研究代表者と分担者の調査旅行の予算についても調整が必要になったこともその理由として挙げられる。これらの未使用分の予算については、今後の研究の推進方策で述べたように、2020年度にプロジェクトを総括する研究会を開催すると同時に、各人の個別研究で調査旅行を行うことにより執行する。
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