2021 Fiscal Year Research-status Report
「1960年代」の再検討:多様性と超域性の観点から
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17K03043
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Research Institution | Kinjo Gakuin University |
Principal Investigator |
大八木 豪 金城学院大学, 文学部, 講師 (20740129)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
幸田 直子 近畿大学, 国際学部, 准教授 (30781091)
Schieder Chelsea 青山学院大学, 経済学部, 教授 (80792978)
舟橋 健太 龍谷大学, 社会学部, 准教授 (90510488)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 1960年代 / 超越性 / 社会運動 |
Outline of Annual Research Achievements |
2021年度も前年度と同じ様に、新型コロナウイルス感染症の流行に伴う旅行の制限などにより、研究代表者・研究分担者ともに研究計画を変更せざるを得なくなったが、個々の研究の推進に努めた。また、個々の研究成果を基に議論を行い、プロジェクト全体を総括する研究会の開催も2023年2月まで延長することにし、研究期間も再度1年間延長することにした。個々の研究について述べると、研究代表者 である大八木は、前述の理由により、予定していたアメリカ合衆国での一次資料の調査が困難であったため、本研究プロジェクトの成果を含む、第二次世界大戦後のアジア系アメリカ人のアイデンティティ形成と国際主義の発展との関係を探求する書籍の草稿の執筆を進め、初稿をほぼ完成させた。研究分担者の幸田も、海外・国内調査が困難であったため、主にデータベースを用いた文献リサーチを実施し、本研究プロジェクトの成果を含む書籍を完成させた。シーダーは、2018年と2019年の調査で収集した資料の整理と分析をさらに進め、1960年代の経済史、移民研究、女性研究を統合する研究を深めた。そして、舟橋は、同様に新型コロナウィルス感染症による影響で、インド出張・現地調査を行うことができなかったことから、比較社会論的観点から二本の論考の寄稿を行うなど、本研究プロジェクトの成果も踏まえたこれまでの研究蓄積の取りまとめと発信・刊行に注力した。このように、それぞれの個別の研究は着実に進展したが、新型コロナウイルス感染症の影響により、プロジェクト全体の総括となる会議の開催は2022年度に行うことになった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
研究実績の概要で述べたように、依然として見られる新型コロナウイルス感染症の社会的影響により、研究代表者・研究分担者ともに研究計画を変更せざるを得なくなったが、個々の研究の推進に努めた。そして、前述したように、2022年2月に予定されていた、プロジェクト全体を総括する研究会の開催も2023年2月まで再度延期することになり、研究期間も1年間延長されることになった。
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Strategy for Future Research Activity |
2022年度も、前年度に続いて、1960年代から1970年代にかけてのアジア系アメリカ人運動、冷戦の政治的境界線を超越した学生運動、インド独立前後期に起こったダリト運動(「不可触民」解放 運動)の1960-1970年代の展開、そして1960年代の新左翼運動と1970年代に高まった女性の運動という個々の研究を進め、研究成果の発表を積極的に試みる。また、個々の研究の成果をプロジェクト全体の成果としてまとめていくために、それぞれの領域における研究史の整理も進める。そして、2023年2月に、個々の研究成果について議論するとともに、1960年代研究の現状について総括するための研究会を開催する。個別の研究計画について述べると、大八木は、新型コロナウイルス感染症の状況が許せば、アメリカ合衆国カリフォルニア州において、アジア系アメリカ人に関する一次資料の調査を行うとともに、初稿がほぼ完成した書籍の出版計画を進める。幸田は、国会図書館や近畿大学図書館を含む国内の図書館での資料調査と分析を予定している。シーダーは、収集した資料の整理と分析をさらに進める。また、舟橋は、海外出張が可能となった折には、インド現地調査にて、ダリト運動(「不可触民」解放運動)の歴史について、資料収集とインタビュー調査を計画している。また、在日インド人コミュニティを対象としたインタビュー調査も計画している。
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Causes of Carryover |
主な理由としては、前述のように、2021年度に行う予定だった研究会の開催を次年度に持ち越したことで、各人の旅費などの予算も次年度に執行することになったことが挙げられる。また、研究代表者と分担者の調査旅行の予算についても調整が必要になったこともその理由として挙げられる。これらの未使用分の予算については、今後の研究の推進方策で述べたように、2022年度にプロジェクトを総括する研究会を開催すると同時に、各人の個別研究で調査旅行を行うことにより執行する。
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