2017 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
17K03052
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Research Institution | Ryukoku University |
Principal Investigator |
中西 直樹 龍谷大学, 文学部, 教授 (20412687)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | 日本史 / 仏教学 |
Outline of Annual Research Achievements |
調査研究活動は想定していたより順調に進展し、2017年12月に研究成果として『仏教植民地布教史資料集成』(満州・諸地域編)全8巻(不二出版)の刊行を終えることができた。 これにより、2007年から3年間、2011年からの3年間の過去2回にわたって「基盤研究(C)」に採択された際の研究成果である『仏教海外開教史資料集成』(ハワイ編全6巻・北米編全6巻・南米編全3巻)及び『仏教植民地布教史資料集成』(朝鮮編全7巻・台湾編全6巻)と併せて、日本仏教の海外布教の関係資料集の刊行を完結することができた。 この資料集刊行の意義について、「海外布教史資料集の編集を終えて」という雑文を記し、これは、柴田幹夫編『台湾における日本仏教(仮題)』(勉誠出版、2018年刊行予定)に収録されることになっている。 ところで、南洋方面の布教活動に関しては、まとまった資料が残されておらず、前記『仏教植民地布教史資料集成』(満州・諸地域編)に関係資料を収録することができなかった。 このため、本年は特にシンガポールを中心とするマライ半島での布教活動に関しての新聞雑誌の記事の蒐集につとめた。その結果、「戦前期日本仏教のマライ半島布教」(龍谷大学アジア仏教文化センター『2017年度研究報告書』、2018年3月)、「戦前期日本仏教のシンガポール布教」(『佛教史学研究』に投稿、佛教史学会での査読終了、2018年刊行予定)の2編の論文を執筆することができた。 また、本研究の調査活動に関連して派生した研究成果として、『明治期の真宗大谷派教団』(法藏館、2018年5月刊行予定)、『明治仏教研究事始め(仮題)』(不二出版、2018年9月頃刊行予定)の2冊の編集も終え、近く上梓を予定している。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
すでに本研究の主たる目的である『仏教植民地布教史資料集成』(満州・諸地域編)全8巻(不二出版)の編集・刊行を終えている。 さらに、論文2編「戦前期日本仏教のマライ半島布教」、「戦前期日本仏教のシンガポール布教」、雑文1編(コラム)「海外布教史資料集の編集を終えて」の執筆を終えており、2018年度中には刊行される見込みとなっている(「研究実績の概要」参照)。 加えて、調査活動に関連した派生的な研究成果として、真宗大谷派の初期アジア布教のあり方に論究した『明治期の真宗大谷派教団』、戦前における明治仏教研究に関する重要資料を復刻し解説を加えた『明治仏教研究事始め(仮題)』の2冊の単行本の編集作業も終了している。この2冊に関しても、2018年中には刊行されることになっている(「研究実績の概要」参照)。 直接的な研究成果ではないが、2018年1月に法藏館より刊行した『仏教英書伝道のあけぼの』にも、本研究の成果は生かされた。その他、研究調査活動に付随して明らかになった歴史的事実に関して論説にまとめ、仏教系の新聞『中外日報』に寄稿して、広く一般にも研究成果を還元できるように努めている。 初年度における研究成果としては申し分ないものと考えるが、『仏教植民地布教史資料集成』(満州・諸地域編)の刊行と並んで、今回研究成果のもう一つの柱である『日本仏教の海外布教(仮称)』に関しては、執筆の目処がいまだ立っておらず、その準備作業も十分にできていない。また『仏教植民地布教史資料集成』(満州・諸地域編)の解題・論文編の執筆・編集に関しても、同様に目処が立っていない状況にある。 いずれも研究成果にまとめ出版するには数年を要するものではあるものの、初年度から研究成果を多く残せたのに比べ、次年度以降への課題を多く積み残す結果となったことも否めない。
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Strategy for Future Research Activity |
『仏教植民地布教史資料集成』(満州・諸地域編)の解題・論文編の執筆・編集に向けた作業が最大の課題となる。 このために現地調査、開教使とその遺族への調査、研究機関の関係蔵書調査、及び関係資料の調査・蒐集作業を引き続き進めていく予定である。併せて、解題・論文の執筆のためには、仏教系新聞雑誌の関係記事データベースの構築が重要となる。これへの対応として、広く資料を渉猟するとともに、アルバイトの協力を得て資料整理の作業を進めていくことを予定している。 解題・論文編は、野世英水氏、大澤広嗣氏との共同編集となるため、両氏との連絡調整を密にし、出版に向けての構想を練り、その準備作業を進めていきたいと考えている。刊行を予定している不二出版とも編集・刊行に向けて、著作権等の対応についての協議を進めていきたい考えである。 加えて、『日本仏教の海外布教(仮称)』の執筆の準備のための資料蒐集・整理も進めていく予定である。これまでに刊行した『仏教海外開教史資料集成』(ハワイ編6巻・北米編6巻・南米編3巻)及び『仏教植民地布教史資料集成』(朝鮮編7巻・台湾編6巻・満州諸地域編8巻)に収録した資料を基本とし、さらに当時の仏教系新聞雑誌の記事なども活用しつつ、戦前期における日本仏教の海外仏教の全体像を俯瞰した概説の執筆し、刊行を目指す予定である。
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