2022 Fiscal Year Research-status Report
近代日本の水産業および化学工業の発展への藁工品生産の対応に関する研究
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17K03061
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Research Institution | Tokyo University of Marine Science and Technology |
Principal Investigator |
高橋 周 東京海洋大学, 学術研究院, 准教授 (10339731)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | 肥料叺 / 本埜村 |
Outline of Annual Research Achievements |
これまで主に行ってきた東上総(千葉県上総地方東部)に関する研究を踏まえ、これを相対的に検討するために、他の叺産地についての調査を行なった。具体的には、千葉県の下総地方(印西市)、茨城県利根川下流域(潮来市、行方市)、香川県(観音寺市、三豊市)での叺生産について史料調査を行なった。千葉県下総地方については、これまで収集した史料を中心に行ったが、茨城県利根川下流域については潮来市立図書館と水戸の茨城県立図書館で、香川県については観音寺市中央図書館と三豊市のみとよ未来図書館、および、みとよことも図書館にて史料調査を行なった。いずれも肥料叺の産地となった経緯において独自の展開を有しており、具体的には、千葉県下総地方にあったは村是をもとにした村単位の叺産地化であり、茨城県利根川下流域は東京の問屋が主導しており、香川県では塩叺生産からの転換であった。これらはいずれも、地域の商業地にあった商人による叺産地化であった東上総地域のケースを相対化することに資するものであった。その中でも本埜村のケースは、同じ千葉県内での事例であり、また、東上総の中でも化学肥料工業勃興の当初から叺の産地となってた長生郡との比較だけでなく、昭和恐慌期以降に叺産地となった夷隅郡上瀑村との比較においても、村単独での事業という点で特徴的であった。この本埜村の事例を中心に、2023年5月の社会経済史学会にて報告することとなり、そのため準備を行なった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
2022年も新型コロナ感染症の影響は小さくなく、史料の調査・閲覧に支障をきたす場合があった。また、同感染症への対応の変化にともない、本務校における業務が増加し、十分なエフォートを割くことが困難であった。
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Strategy for Future Research Activity |
2022年までの研究内容をふまえ、2023年5月27日・28日の社会経済史学会の自由論題報告にて成果を発表する。 その後は、これまでの成果を論文などにまとめる作業を行なう予定である。
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Causes of Carryover |
新型コロナ感染症による研究の遅れによる。
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