2017 Fiscal Year Research-status Report
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17K03062
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Research Institution | Kanazawa University |
Principal Investigator |
黒田 智 金沢大学, 学校教育系, 教授 (70468875)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | 中近世加越能地域 / 宝物論 / 荘園・村落 |
Outline of Annual Research Achievements |
第1に、6月と9月に加賀得橋郷(石川県能美市・小松市)の現地調査聞き取りを実施し、牛島地区の区有文書の撮影を行なった。また延慶2年検注帳および、屋号・小地名データベースの作成をすすめた。牛島区有文書の分析をすすめている。若林陵一「加賀得橋郷の村々と中世社会」を『金沢大学大学院人社環研紀要』に掲載予定である。 第2に、越中般若野荘(富山県砺波市)薬勝寺の文化財調査を12月に2回3日間にわたって実施し、古文書・大般若経・過去帳、そのほか頂相彫刻や絵画類の調査・撮影を実施した。その後、現地調査を数回行なっている。若林陵一「中世後期越中国般若野荘にいおける社会の枠組」を『富山史壇』に掲載。寺社縁起研究会にて、黒田智「薬勝寺大般若会と中世般若野荘」の研究報告を行ない、海老澤衷編『中世の荘園と村落を歩く(仮)』(勉誠出版)に論文を掲載する予定である。 第3に、明和6年の小松勝光寺周好の日記『烏兎記』の輪読会を開催し、その成果の一部を小西洋子ほか「資料紹介『烏兎記』」として『金沢大学大学院人社環研紀要』に掲載予定である。 第4に、加賀倉月荘(金沢市)について、10月に福井県文書館にて『勝授寺文書』の閲覧と写真複写を行ない、一部を翻刻中である。今後は木越山光徳寺(石川県七尾市)の調査を準備中である。 そのほか、『里山という物語』(勉誠出版)、『天皇の美術史』3 乱世の王権と美術戦略(吉川弘文館)を刊行。東京都中央区連携講座「金沢を知る」にて、「ラグーンに棲む異類と水災の記憶」の研究報告を行なった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初、予定していなかった越中薬勝寺の調査が大きな成果をあげつつある。そのほか、得橋郷・倉月荘の調査は順調で、『烏兎記』の読解もすすんでいる。逆に予定していた豊財院、富山愛宕神社の調査・研究がはかどらず、今後は準備を進めていきたい。
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Strategy for Future Research Activity |
得橋郷の補充調査を実施するとともに、検注帳や近代土地台帳ほかの帳簿類のデータベース化と分析を進める。また、般若野荘東南部山間地域の現地聞き取り調査を実施する予定である。志賀町矢駄地区、羽咋市豊財院の観音像ほか、富山愛宕神社の地蔵菩薩像についての情報収集を行ない、調査準備をすすめる。
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Research Products
(9 results)