2019 Fiscal Year Research-status Report
中・近世公家の知の継承と財政基盤に関する基礎的研究―内記唐橋・東坊城家を事例に
Project/Area Number |
17K03079
|
Research Institution | Bukkyo University |
Principal Investigator |
佐古 愛己 佛教大学, 歴史学部, 准教授 (70425023)
|
Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2021-03-31
|
Keywords | 内記 / 位記 / 公家 / 東坊城 / 平田 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の目的は、大内記を代々輩出した東坊城家関係文書を主に用いて、詔勅や位記・宣命など天皇発給文書の調進を担い、古代より朝廷文書行政の中核を担う重職でありながら、本格的な研究がみられない内記と、これを輩出した東坊城家等の諸家の実態解明を目指す点にある。本年度は、史料調査と内記補任作成のための史料蒐集、翻刻作業などを行った。具体的には、以下の3点の作業・調査・検討を行った。 ①内記の実態研究のための基礎的作業として刊行史料(古記録・古文書類)からの史料蒐集と、未刊史料の閲覧と紙焼きの収集を進めた。今年度は石川武美記念図書館(旧御茶ノ水図書館)、早稲田大学図書館、国立公文書館内閣文庫、宮内庁書陵部などを訪問し、平田家・押小路家・東坊城家・唐橋家の内記・位記に関わる史料を調査し、紙焼きやデジタル画像を手した。また、翻刻作業やデータ抽出作業を進めた。 ②平安時代から幕末までの内記補任を作成するためのデータを、①で入手した史料から抽出し、エクセル形式の補任表を作成し、入力作業を進めている。 ③位記・口宣案・叙位など昇進制度研究に関わって、石川武美記念図書館(旧御茶ノ水図書館)成簣堂文庫、早稲田大学図書館(平田家文書「位記留」他)、国立公文書館内閣文庫、宮内庁書陵部、国文学研究資料館などを訪問し、近世の位記作成や叙任に関わる史料を調査し、撮影・紙焼きの購入を行った。その上で、これらの史料を用いた分析・考察に着手した。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
翻刻作業と論文執筆に当初の計画よりも若干遅れが生じているため。また、年度末に実施予定であった史料調査が、新型コロナの影響により実施できなかったため。
|
Strategy for Future Research Activity |
史料調査・蒐集の補足をおこなうとともに、これまでに蒐集した史料の整理・分析を主として進め、内記補任の完成を目指す。また、翻刻および内記局の構成変化や近世の内記の活動、位記作成にかかわる経済活動の実態調査を進める予定である。 具体的には、2017・18・19年度中に蒐集した京都府立京都学・歴彩館蔵(平田家文書「大内記日記」)、早稲田大学図書館蔵(平田家文書「位記留」)、石川武美記念図書館(旧御茶ノ水図書館)成簣堂文庫蔵(「東坊城文書」)に関する分析を進め、上記課題に取り組みたい。 また、最終年度に当たり成果の一部を論文等によって公表するとともに、報告書の作成準備にもとりかかりたい。
|
Research Products
(2 results)