2021 Fiscal Year Annual Research Report
A study on the multidimensional derivation and development of onmyodo and folk beliefs in the community
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17K03080
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Research Institution | Setsunan University |
Principal Investigator |
赤澤 春彦 摂南大学, 外国語学部, 准教授 (90710559)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | 陰陽道 / 陰陽師 / 怪異 / 安倍晴明 / 中世 / 陰陽道的「知」 |
Outline of Annual Research Achievements |
最終年度となった2021年度(なお、当初は2020年度が最終年度であったが、新型コロナウイルスの感染拡大に伴い、調査が充分に行えなかったため延長を申請し、受理された)は、これまでの研究を総括するとともに、新たな課題の模索を行った。 研究成果としては、論文3本、研究報告1件、その他の成果1件を発表することができた。まず、陰陽道の歴史的展開および社会への流布を考える上でキーパーソンとなる安倍晴明について「中世における安倍晴明蔵の展開」(林淳編『新陰陽道叢書 第五巻特論』名著出版)としてまとめた。晴明伝説が安倍氏で正統性を主張する根拠として家産の重要な構成要素の1つと見なされていたこと、また、他宗教、とりわけ仏教説話の中で晴明が神格化されたことによって中世以降の陰陽道に新たな晴明伝説が加わるようになることを論じた。本研究課題である陰陽道の多元的な展開において重要な論点を提示することができた。 これまでの研究を踏まえて中世における陰陽道の概要を「陰陽道の中世的展開」(『現代思想』49-5)と題し、中世国家と陰陽道、鎌倉幕府と陰陽道、顕密仏教と陰陽道、陰陽道の地域的展開、南北朝内乱・室町幕府と陰陽道、民間陰陽道の展開の6つのテーマを設けて論じた。 この他、鎌倉幕府の歴史書『吾妻鏡』にみえる怪異記事を分析した論考(「鎌倉幕府と怪異―『吾妻鏡』の怪異を読む―」共著、東アジア恠異学会編『怪異学講義―王権・信仰・いとなみ―』勉誠出版)などを発表した。 本研究課題では、地域寺社、改元、暦、占術、呪術、病、怪異といった様々なキーワードから陰陽道的「知」の多元的展開について検討してきた。その中で注目されるのが、様々な宗教者によって創られ、流布されるテクストである。すなわち今後は多元的な展開を考える上での鍵を握る宗教・文芸テクストを本格的に検討する必要性がある。
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Research Products
(4 results)