2018 Fiscal Year Research-status Report
自治会保管文書の恒久的保全・活用体制構築に関する研究
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17K03081
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Research Institution | Kobe University |
Principal Investigator |
松下 正和 神戸大学, 地域連携推進室, 特命准教授 (70379329)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
木村 修二 神戸大学, 人文学研究科, 人文学研究科研究員 (10419476)
井上 舞 神戸大学, 人文学研究科, 特命助教 (30623813)
室山 京子 神戸大学, 人文学研究科, 非常勤講師 (80794239)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | 自治会文書 / 区有文書 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では、兵庫県内の自治会文書を対象に、教育委員会や自治体史編纂室、資史料館、地域史研究団体などと連携しながら、自治会保管文書所在確認の効率的な調査方法の検討や、自治会文書の整理・内容と構造の分析を行い、文書伝来論の研究を行う。また文書を保管する地域住民にその担い手となってもらえるよう<地域アーキビスト>の養成や、共同調査方法を開発することにも重点を置き、恒久的な保全体制を研究する。さらには、これら諸団体と連携し、現地説明会や展示活動、ブックレット等の発行といった成果の還元を行い、自治会保管文書の活用の方策を地元住民や団体、文化財担当部局や小中学校などと一体になって検討する<古文書リテラシー>論の研究を行う。これらにより文書保全のための体制構築や人材養成を視野に入れた、市民を主体とする恒久的な自治会保管文書活用研究を進めることを目的としている。 今年度の自治会・旧家所蔵文書調査としては、丹波市春日町棚原・松森、柏原町大新屋、市島町中竹田、豊岡市日高町知見・椒、神河町中村、姫路市田寺、神戸市平野、三木市・猪名川町内の区有文書・旧家文書の調査を行った。これらのうち、春日町棚原・松森地区などにおいて、地域住民とともに文書整理と目録作成を行い、恒常的な保管環境整備につとめた。 また成果の活用・公開としては、地域の郷土史研究会メンバーとの古文書輪読会、公民館における区有文書の調査報告会、将来の保管の担い手を意識して小学校での村絵図を中心とした区有文書の説明会などを開催し、地元住民や自治体、郷土史研究会などと連携しながら、区有文書の内容分析を進め、まちづくりにおける保存と活用の意義について周知することができた。また近世・近代文書のみならず、平成の自治会文書までを射程に入れた、整理・保管体制のあり方についても地域住民と検討する機会をもった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
今年度は自治会文書の整理と現地での説明会の開催を重視し、実際に複数の地区で成果報告会を開催することができた。また、古文書の読解・内容分析とともに保管や活用についての方策を検討する「古文書リテラシー」のあり方についても研究することができた。とりわけ、子どもを含めた地域住民や地域の枠にとらわれない地元の郷土史研究団体メンバー、市町の教育委員会とも連携して、自治会文書を活用した取組を進めることができたのが大きな成果であった。ただ、訪問した先全てにおいて現地説明会を開催することができなかったのが今年度の課題である。
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Strategy for Future Research Activity |
今後は、これまでのように調査対象地区の文書整理・目録作成を住民と進め、その恒常的な保存と活用のあり方について引き続き検討を進めていく。また、個々の地域での自治会文書の残存状況から、自治会文書の伝来・構造分析を進めるとともに、それらを恒常的な保管管理体制につなげるために、地元住民や自治体(資史料館・図書館)との協議を進め、各市町単位でのモデルケースづくりに努めていきたい。 また研究成果を論文や学会発表などで報告することで、国内の歴史学会のみならず、旧村単位のまちづくりにおける自治会文書の持つ意義を、行政や社会学など隣接諸科学の分野においても広く周知し、地域のレジリエンス向上のために必要不可欠なものとしての自治会文書をパブリックなものとして学問的にも社会的にも位置付けていきたい。
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Causes of Carryover |
今年度は学内での文書撮影や予備調査も多く、研究分担者のうち旅費の使用額が少額に抑えられた。そのため次年度には播磨北部、但馬地域への出張が増えることが予想され、その出張経費の一部として利用することにしたい。
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Research Products
(10 results)