2019 Fiscal Year Annual Research Report
A practical study of the ritsuryō national tax system in the the tributed foodstuffs of ancient Japan
Project/Area Number |
17K03084
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Research Institution | National Museum of Japanese History |
Principal Investigator |
清武 雄二 国立歴史民俗博物館, 大学共同利用機関等の部局等, 特任助教 (50753737)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | 鮨鰒 / 長鰒 / 延喜式 / 木簡 / 食文化 / 税物生産 / カツオ / なれ鮨 |
Outline of Annual Research Achievements |
2017年度・2018年度は、貢納食材の中でも後世に熨斗鰒として知られる長鰒の加工法や運搬形状を特定するための加工実験を行った。この結果、使用品種、加工に適した時期、梱包・運搬のための2次加工の必要性、長期保存に耐えうる食品特性などが判明した。 最終年度は、発酵食材のなれ鮨の研究を行った。具体的には、昨年度まで乾燥加工との対比を考慮してアワビのなれ鮨(鮨鰒)を取り上げた。また、カツオの乾燥品(麁堅魚・煮堅魚)について、回遊魚としての生態に着目した特定漁場の情報収集や加工形状の検証を行った。 鮨鰒は、なれ鮨生産の民俗例等を参照するとともに、福井県小浜市にてサバのなれ鮨製造の現地調査を行い、加工手順や材料の比率を検証した。併行して、文献史料記載の数量等を分析し、現在のなれ鮨製造時との比較から鮨鰒の材料比率を特定した。算出の際は税の均等負担に着目し、長鰒加工実験で判明した歩留まりのデータを用いて、鮨鰒と長鰒の一人分の貢納量を比較した適正値を割り出した。これらの数値は、現在のなれ鮨の製造工程を参考にした加工実験による検証を試みており、食品特性を把握するための成分分析も実施した。 カツオ製品は、昨年度の調査で脂質の点から漁獲時期は春~夏と判明している。最終年度は、カツオの生態研究事例を精査して、中心的な貢納地である駿河国の漁場等に関する情報を収集した。この結果、駿河湾沿岸に2Kg未満の脂質が少ない未成魚が回遊することがわかり、税物生産に関係する可能性が示唆された。加工法については、木簡から割り出した1節あたりの平均重量をもとに、乾燥を可能とする厚みに着目した加工実験による検証を試みている。 本研究において、古代の食材に関する税物研究は、素材となる水産品等の特性の分析、加工実験や食品分析による検証といった手法が有効であることが確認され、新たな実態的研究法の事例を提供することができた。
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Research Products
(2 results)