2021 Fiscal Year Research-status Report
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17K03086
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Research Institution | Nara National Museum |
Principal Investigator |
吉澤 悟 独立行政法人国立文化財機構奈良国立博物館, その他部局等, 部長 (50393369)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 忍性 / 骨蔵器 / 律宗 |
Outline of Annual Research Achievements |
当年度は忍性骨蔵器群(奈良と鎌倉の3箇所の忍性墓から発見された本人・弟子たちの骨蔵器の集合体)の銘文について、再確認と僧侶名同定などの調査を進めた。奈良・額安寺発見の骨蔵器群に関しては、昨年度末の全点報告(「大和・額安寺の忍性五輪塔に納められた骨蔵器群」『鹿園雑集』第23号、奈良国立博物館、2021年3月)により銘文判定は確定しているものの、個々の僧侶の事績については未だ不明な点が多い。中でも心一房禅意については、岩城郡薬王寺宝寿院(現.福島県いわき市)の僧侶であり、彼の修した秘法が「宝寿抄」にまとめられたことが知られ、密教修法を介して忍性と縁が結ばれたことが明らかとなった。こうした各僧侶の事績と忍性との繋がり、ひいては律宗による救済ネットワークの実態については、各地の律宗寺院研究者と情報交換を行いつつ、一つずつ検討・把握を進めているところである。また、骨蔵器以外の遺物に関しても、形態観察や他地域の類品の探索などを通して情報収集を進めている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
博物館内に寄託・保管されている遺品(忍性骨蔵器群)については鋭意調査が進められているが、地方寺院や五輪塔出土品などの調査・情報収集にはコロナの影響もあって遅れがちである。
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Strategy for Future Research Activity |
本研究は今年度で一段落をつけるべく、これまでの情報を集約・整理して行く方針である。また、奈良・竹林寺の忍性五輪塔の骨蔵器群について、昭和60年の発掘調査成果(遺構調査の詳細が未発表)が年内に報告されるはこびとなったと聞いており、当方が進めてきた骨蔵器の調査成果とこれを連動させた研究報告の執筆を準備する予定である。これらの成果発表は奈良国立博物館の紀要等で随時公表してゆく所存である。
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Causes of Carryover |
コロナの影響により地方出張や情報収集に必要な費用支出が困難であったため。
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