2022 Fiscal Year Annual Research Report
A Study of the Political and Economic Policies of the "Greater East Asia Co-Prosperity Sphere" in Wartime Japan
Project/Area Number |
17K03090
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
安達 宏昭 東北大学, 文学研究科, 教授 (40361050)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 日本史 / 近現代史 / アジア太平洋戦争 / 地域統合 / アジア |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、アジア太平洋戦争中、「広域圏」である「大東亜共栄圏」の建設を図るという日本の地域統合政策の形成展開過程を、政治的側面と経済的側面を統一して把握しようとするものである。 本年度は、一般読者向けに『大東亜共栄圏-帝国日本のアジア支配構想-』(中公新書、2022年7月)を刊行した。本書では「大東亜共栄圏」について、本研究課題の主目的であった政策の展開過程における政治的・経済的側面を統一して、その構想の立案、実行から破綻までの全貌を描いた。また、これまで東南アジア地域に注目が集まる傾向が強かったことに対して、中国や「満洲国」という東アジアでの施策との連関性も強調した。それゆえ、一般読者向けに分かりやすく執筆したとはいえ、本研究の成果をかなり取り込むことができ、研究の中間的なとりまとめとしての意義を有するものであったといえよう。 また、本年度は「大東亜共栄圏」をグローバルヒストリーに位置づける作業を始めることができた。20世紀の日本の「広域圏」形成がどのように連続/非連続しながら展開して、アジアのグローバルヒストリーのなかに位置付くのか、英語で論文を執筆し、現在、その論文を組み込んだ論文集の刊行を、日独の研究者で進めている。 本研究の期間において、多くの関連資料を収集することができ、以下の成果が得られた。第一に外務大臣であった重光葵の「大東亜新政策」を「経済的自給圏」建設の観点から分析を行ってその矛盾と限界を明らかにしたこと、第二に経済政策と政治外交政策が連動して展開した過程を実証したこと、第三に中国での数次にわたる史料調査に基づいて、華北地域における日本の農業・鉱工業での政策展開と現地の状況、そして日本占領支配の矛盾を一定程度解明したこと、である。
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