2018 Fiscal Year Research-status Report
Historical Premises of Japan as a Modern State-Parliament and Territory in "Far East"
| Project/Area Number |
17K03094
|
|---|
| Research Institution | The University of Tokyo |
|---|
Principal Investigator |
杉本 史子 (山田史子) 東京大学, 史料編纂所, 教授 (10187669)
|
|---|
| Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2020-03-31
|
| Keywords | 海洋 / 開成所 / 空間 / 政治 / 近代化 / 評定所 / 情報 / 議会 |
|---|
| Outline of Annual Research Achievements |
（１）成果公開
①これまでの成果を『近世政治空間論―裁き・公・「日本」』（東京大学出版会、2018）として刊行した。②学会大会報告2件。杉本史子「政治社会の動きを描くパノラマ的広域鳥瞰図」（第23回 国際浮世絵学会秋季大会「名所絵・地図・地誌」2018年12月2日 國學院大學渋谷キャンパス、百周年記念講堂）、杉本史子「海洋空間と情報の幕末史」（2018年度都市史学会大会「海峡と都市」 2018年12月16日 西日本工業大学 小倉キャンパス・本館303講義室）。③招待講演１件（「世界を描く―古地図にみる江戸の人々の見方・考え方」（東洋文庫ミュージアム講演会、2018年11月11日、東洋文庫）も行い、一般にも研究成果を還元した。
（２）研究活動
① 江戸幕府開成所関係史料の所在調査。②評定所に関わる関係史料の翻刻。③都市史学会WG「内湾研究会」と共催して、公開研究会２件を開催。③ー１ 2018年8月8日「江戸城・江戸と水路」（ＴＯＫＹＯミナトリエ・海上保安庁海洋情報資料館。第Ⅰ部「江戸城―江戸と水路についての覚書」（杉本史子）、「海図から何がわかるか」（今井健三）、「江戸城堀の空間構造と存続形態」（高橋元貴）、コメント 多和田雅保・岩淵令治。第Ⅱ部：海洋情報資料館見学と「海図」「海洋台帳」の閲覧、③ー２：2018年11月13日「和船操船とセミナーの集い」（東京大学三崎臨海実験所、第１部：和船操船実習と施設見学、第２部：「和船とは」（安達裕之）、「櫓の推進機構について」（早稲田卓爾）。④江戸城について、東京大学史料編纂所画像史料解析センター「江戸城図・江戸図・交通図および関連史料の研究」（代表・杉本史子）および同共同利用・共同研究拠点「江戸城本丸御殿平面図・間取図の収集と研究資源化に関する研究」（代表・小粥祐子）と協力して、研究会、解題執筆とウェブ公開、『研究成果報告書』（300頁）の作成を行った。
|
| Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
『近世政治空間論―裁き・公・「日本」』（東京大学出版会、2018）を刊行した。本書については、『週刊文春』1/3・10号の特集「18賢人が選ぶ日本史の新常識65冊」で取り上げられ、また複数の学会で合評会が予定されている。
テーマのひとつである、海洋の変容と国土の問題については、2017年度に東京大学とイエール大学の２つの国際研究集会において報告したが（Fumiko Sugimoto, ”Modern Nautical Charts and Geo-Bodies”,Third Global History Seminar Workshop: Sources in Global History, Institute for Advanced Studies on Asia, The University of Tokyo, January 28, 2017ならびにFumiko Sugimoto. “Sea changes and the geo-body”, The Meiji Restoration and its Afterlives. Yale University. Sep.15-17.2017)、今年度はそれを日本語で公刊できた（後述「近代国家形成過程再考」）。またこの成果を前提として、2つの学会大会（国際浮世絵学会・都市史学会）で報告を行った（「研究実績の概要」参照）。
政体の中核としての江戸城を海陸のなかで捉え直す視点については、2回にわたって都市史学会ワ―キンググループ内湾研究会と公開研究会を共催し(「研究実績の概要」参照）、文理を超えた諸分野の研究者の参画を得た。
また、東京大学史料編纂所画像史料解析センター「江戸城図・江戸図・交通図および関連史料の研究」（代表・杉本史子）および同共同利用・共同研究拠点「江戸城本丸御殿平面図・間取図の収集と研究資源化に関する研究」（代表・小粥祐子）の成果をウェブ上に公開し、冊子のかたちにまとめた（絵図解題を『東京大学史料編纂所画像史料解析センター通信』に掲載するとともに、史料編纂所ホームページから公開し、『研究成果報告書』（300頁）を作成した）。
|
| Strategy for Future Research Activity |
１）近世から近代への国土の変容については、ウェブ上に公開されるエンサイクロペディアである”Oxford Research Encyclopedia of Asian History”（Oxford University Press）の原稿執筆を完成させる。２）引き続き評定所・開成所関係史料の検討・翻刻を行う。３）『近世政治空間論』でまとめた政体の中核としての江戸城と都市江戸の問題を、近世近代移行期のより広い視野からさらに検討を深めることをめざす。具体的には、歴史学・建築史学・地震学の研究者からなる「城・都市と危機」研究会（代表・杉本史子）と共同して、城と都市について、文理融合の多角的視点から検討を行っていく。４）3年間の研究成果をまとめた成果報告書を作成することを検討する。
|
| Causes of Carryover |
著書刊行、および学会大会報告二件に、力を注いだため、そのほかの支出が抑えられた。
|
