2017 Fiscal Year Research-status Report
日本近世の在地型商人集団と都市的な場との関係性についての研究
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17K03097
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Research Institution | Yokohama National University |
Principal Investigator |
多和田 雅保 横浜国立大学, 教育学部, 教授 (10528392)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | 日本近世史 / 地方史 / 流通史 / 在方市 / 商人 |
Outline of Annual Research Achievements |
信濃北部においては、長野県立歴史館及び長野市立図書館に出張し、当該地域における近世の町場と商人集団の分布にかんする広域レベルの関係資料の所在状況を把握することができた。そのうえで、個別の史料情報を得るため中野市立博物館に出張し、町場化が大きく進展していた中野の陣屋元村を中心とした一帯における商人集団の分布形態について詳細を把握することができた。あわせて中野の町場および周辺農村部の現況を実見することにより把握した。 相模中西部においては、当初予定していた神奈川県立公文書館のみならず、相模原市立博物館、同市立図書館、小田原市立図書館、伊勢原市立図書館に出張し、当該地域における近世の町場と商人集団の分布にかんする関係資料の所在状況を確認することができた。とくに相模原地域においては、近世を通じた市場である久保沢と近代以後に展開した上溝という2つの市場について詳細なデータを収集することができ、今後の研究の進展を見通すことができた。 以上にあわせて、2つの地域において刊行されている地域史関係文献を多く収集し、研究動向を把握することができた。これらをあわせて検討することで、各地に点在する町場と、町場をとりまく村落社会双方の近世当時の様相について概要の把握を進めることができた。 また、研究代表者はこれまでに、長野県上高井郡小布施町域など、当該地域において膨大な量の近世商業関係史料の調査を行い、目録作成や写真撮影などを行ってきたが、今年度は目録のデジタル入力を進め、完了の見通しを得ることができた。写真データについても引き続き整理を進めていきたい。 既収集史料の翻字作業については、本年度は主に活字史料の収集にとどまったため、翻字作業をするには至らなかった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初想定していたよりも現地での歴史資料情報調査を積極的に進めることができた。とくに相模中西部においては2年目以降に予定していた調査にも取り掛かることができ、おおくの実りある成果を得ることができた。一方で内容分析については、かなり進めることができたものの、まとまった形で公表するためにはさらなる作業が必要であることが明らかとなった。このように当初の予定より進んだ局面と立ち遅れた局面の両面があるが、研究を進めてみて浮かび上がってきた研究の総合的な過程を考察して判断すると、進んだ局面をより積極的に評価することができる。
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Strategy for Future Research Activity |
当初は近世(江戸時代)に限定した研究計画の遂行を想定していたが、2つの当該地域における当該テーマは、明治時代まで含めて把握することで非常に豊かな成果が得られることが、作業を進めるなかで明らかとなった。今後はその点をさらに意識して研究を進めていきたい。
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