2018 Fiscal Year Research-status Report
日本近世の在地型商人集団と都市的な場との関係性についての研究
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17K03097
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Research Institution | Yokohama National University |
Principal Investigator |
多和田 雅保 横浜国立大学, 教育学部, 教授 (10528392)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | 日本近世史 / 地方史 / 流通史 / 在方市 / 商人 / 日本史 / 都市史 / 近世史 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究計画は、信濃北部及び相模中西部を対象として、日本近世の在地型商人集団と都市的な場との関係を解明することを目的としたものである。まずこのうち信濃北部については、研究対象とする地域の施設(小布施町文書館、長野市公文書館、長野県立歴史館)において、近世の町場に関する歴史資料の調査研究を行い、論考「幕末期における善光寺町の家作形態と生業」(『横浜国立大学教育学部紀要Ⅲ社会科学』2集、2019年)を公表することができた。この研究は、善光寺町におけるさまざまな家作の分布形態とそれぞれの家作を利用した商工業の分布形態について、個々の町の枠組みとの関連性を念頭に置きつつ解明したものである。 次に相模中西部(及びそれに隣接する地域としての武蔵西部。全体として現在の神奈川県域)については、(ア)近世の当該地域に散在した小規模町場群、および(イ)それらの小規模町場群と農村地帯にまたがって活動した商人の動向、以上2点に関して書かれた書籍の購入を進め、前年度の収集資料とあわせて研究を行うことで、論考「近世相武の町場について」(『地方史研究』394、2018年8月)を公表することができた。これは、都市的な場の指標について、市場の有無に求めた『神奈川県史』の見解よりも柔軟に広げることにより、多様かつ多数の町場群が当該地域に濃密に分布し、農村も含む地域の人々の生活様式を規定していたことを指摘したものである。 また、神奈川県域については、非常勤職員を雇用し、①神奈川県域における歴史資料の所在情報、②勤務先である横浜国立大学内における神奈川県域の歴史に関する書籍等の所蔵状況の2点を調査し、成果をエクセルデータにまとめた。 以上にくわえて江戸時代の都市史研究、都市・農村間研究に関する書籍と、歴史資料調査用の資材の購入を行った。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
総合的に判断して、歴史資料の調査及び情報整理、データ入力作業などについて、当初の想定よりも大幅に進めることができた。また、当初の想定を超えて、2本の論考を年度内に公表することができた。
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Strategy for Future Research Activity |
引き続き歴史資料の調査研究を進めるとともに、大学内における地域資料の所在状況確認を進める。また、これまでに収集した歴史資料も併せて分析を行い、信濃北部及び相模中西部を対象とした論考の執筆を進める。
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