2017 Fiscal Year Research-status Report
現代都市下層社会と「民衆的知識人」に関する研究‐大阪「釜ヶ崎」の事例を中心に‐
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17K03099
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Research Institution | Kanazawa University |
Principal Investigator |
能川 泰治 金沢大学, 歴史言語文化学系, 教授 (30293997)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | 都市下層社会 / 民衆文化 / 民衆的知識人 |
Outline of Annual Research Achievements |
2017年4月21日に、西成市民館が主催する第51回釜学研究会で「高度経済成長期の大阪・釜ヶ崎における文芸サークル活動-「裸の会」の活動を事例に-」というタイトルの研究発表を行った。 そこで発表したことの要旨は、「裸の会」の活動の歴史的意義は、高度経済成長期の都市下層社会における表現支援活動と、そこで培われたコミュニティを基盤とする地域再生活動として位置づけられるべきものであり、様々な限界や問題はあるが、現在の「釜ヶ崎」における地域再生活動の先駆として位置づけられるというものである。また、そこで表現された人びとの声は、「釜ヶ崎」という地域で生きるということ、即ち労働・家族・地域・戦争体験を主題とするものが多いこと、さらに共通して更生意欲と暴動批判が多くみられるという意味では、限られた人びとを担い手とする規範文化の形成を意味するものであることも指摘した。そして、上記のような報告の論旨は、当日の参加者からはほぼ共感・賛同する旨の発言を得ることができた。 現在はその研究発表を論文としてまとめ、しかるべき学術雑誌に投稿するべく準備中である。また、釜ヶ崎で開催された現地見学会や「寄せ場学会」にも参加し、資史料収集のために大阪・東京に頻繁に出張した。 ただし、大学の仕事が多忙を極めていることや、自治体史編纂等の以前から引き受けている研究業務にもかなりの時間を費やさねばならなかったため、4月に発表した内容を論文にまとめる作業は滞りがちであり、次年度に新たな発表をする準備も滞っている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
研究発表をすることは出来たが、それを論文として学術雑誌に掲載することができなかったため。
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Strategy for Future Research Activity |
現在までの進捗状況を「やや遅れている」と自己評価せざるを得ない現状を真摯に反省し、論文執筆作業のエフォートをアップできるように努力するとともに、新たな研究発表をするための準備にも力を入れる。
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Causes of Carryover |
当該年度の予算額全体の90パーセント以上使用しているので、次年度使用額が生じた理由の自己分析は困難を極めるが、「その他」の項目が予算を大幅に下回ったことが挙げられよう。次年度はこの点を反省材料とし、文献複写という形での史資料収集に力を入れようと思う。
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