2018 Fiscal Year Research-status Report
現代都市下層社会と「民衆的知識人」に関する研究‐大阪「釜ヶ崎」の事例を中心に‐
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17K03099
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Research Institution | Kanazawa University |
Principal Investigator |
能川 泰治 金沢大学, 歴史言語文化学系, 教授 (30293997)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | 都市下層社会 / 民衆文化 / 民衆的知識人 |
Outline of Annual Research Achievements |
2018年度は、前年度からの進捗状況に応じて聞き取りと史資料収集を継続する一方、「釜ヶ崎」暴動や文化構築を目指す社会運動に関する研究成果の発表と論文作成に取り組む予定であったが、大学の仕事が多忙を極めていることや、自治体史編纂等の以前から引き受けている研究課題にもかなりの時間を費やさねばならなかったことに加え、夏に入院・手術を要する病気を発症したため、本研究課題への取り組みを長期にわたって中断しなければならなかった。このため、交付申請時の研究計画通りに研究を進めることはできなかった。 しかし、国立国会図書館・大阪市立図書館・大阪府立図書館に足を運んで文献史料を収集する作業には取り組んだ。また、聞き取り調査の方法に関しては保刈実『ラディカル・オーラルヒストリー』(御茶の水書房、2004年)や、大門正克『語る歴史、聞く歴史』(岩波新書、2017年)等の先行研究を読み込み、オーラルヒストリーの方法論について考究することができた。さらに、富山県滑川市の米騒動100年企画に協力し、同市博物館が主催した米騒動100年シンポジウム(2018年8月5日、於滑川市民交流プラザ)で、「滑川・水橋における1918年米騒動の社会史」というテーマで報告し、パネルディスカッションにも参加した。米騒動研究は本研究課題の範疇に入らないが、地域住民の共同性や蜂起した民衆のモラルエコノミー等々、民衆史分析で学んだ知見は、大阪の「釜ヶ崎」暴動を歴史的に分析する際にも有効であると考える。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
4: Progress in research has been delayed.
Reason
大学の仕事が多忙を極めていることや、自治体史編纂等の以前から引き受けている研究課題にもかなりの時間を費やさねばならなかったことに加え、夏に入院・手術を要する病気を発症したことにより、本研究課題への取り組みを長期にわたって中断しなければならなかったため。
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Strategy for Future Research Activity |
現在までの進捗状況を「遅れている」と自己評価せざるを得ない現状を真摯に反省し、論文執筆作業のエフォートをアップできるように努力するとともに、新たな研究発表をするための準備に力を入れる。
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Causes of Carryover |
「その他」の項目が予算を大幅に下回ったことが挙げられる。次年度はこの点を反省材料とし、文献複写というかたちでの史資料収集にさらに力を入れようと思う。
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