2019 Fiscal Year Annual Research Report
The Kambang Trade by the Lease Holder (pachter) in the Late-Edo period and the Trade Goods concerned
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17K03110
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Research Institution | Tsurumi University |
Principal Investigator |
石田 千尋 鶴見大学, 文学部, 教授 (00192485)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | 日蘭貿易 / オランダ船 / 脇荷貿易 / 脇荷物 / 賃借人 |
Outline of Annual Research Achievements |
令和元年度は、本研究課題のもと、以下の4点を考察した。1点目は、天保10年(1839)~14年(1843)の脇荷貿易に関する考察である。オランダ船の脇荷貿易は、近世前期よりオランダ商館長以下の館員や船員の役得として一定額だけ許された私貿易品の取引であったが、天保6年(1835)にこの貿易は、バタヴィア政庁によって決められた賃借人により独占的におこなわれることになった。今回考察した天保10年~14年の内、オランダ船の来航がなかった天保12年を除いて、脇荷貿易は賃借人とバタヴィア政庁との間で結ばれた契約に原則として基づいておこなわれていたと考えられる。また、脇荷物の種類については、従来と変わりはなく、さらに、1839年度用の契約から加えられた賃借人の政庁勘定への資金投入の条項とその実態より、政庁が賃借人に優遇措置を施していたことが明らかになった。 2点目は、19世紀前半の日蘭貿易において、本来、誂物として輸入されていたウニコール(一角)が、天保7・8年と嘉永2、4~7年にかけて、脇荷貿易の賃借人によって輸入されていた実態を明らかにし、当時のバタヴァイ政庁と賃借人との関係について言及した。その結果、上記1点目で考察したことをさらに深める結果となり、政庁と賃借人はお互いに補完しあう密接な関係性を維持していたことが判明した。 3点目は、シーボルト記念館に所蔵されている文化11年(1814)の脇荷貿易品に関する史料の紹介をおこない、脇荷物の取引をめぐる未解明の問題点を明らかにした。これは、賃借人の脇荷貿易と貿易品に関する前提条件を解明する考察となった。 4点目は、鶴見大学文化財学科に寄贈された「更紗裂」432枚について、輸入年の明確な「反物切本帳」内の裂と照合をおこない、各裂の輸入年を推測した。脇荷物としても輸入されていた更紗について、実物を整理・考察・提示することができた。
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Research Products
(4 results)