2018 Fiscal Year Research-status Report
小石家書簡にみる近世後期文人ネットワークの総合的研究
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17K03111
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Research Institution | Kyoto Tachibana University |
Principal Investigator |
有坂 道子 京都橘大学, 文学部, 教授 (30303796)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
青木 歳幸 佐賀大学, 地域学歴史文化研究センター, 研究員 (60444866)
中尾 和昇 奈良大学, 文学部, 講師 (00743741)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | 文人交流 / ネットワーク / 書簡 / 江戸期医学 |
Outline of Annual Research Achievements |
本年度は、前年度の進捗状況を踏まえ、研究会開催回数を1回増やし、4月・8月・11月・3月にキャンパスプラザ京都において2日間ずつおこない、小石家の文人書簡の解読を進めた。また12月には研究会を大分県で開催し、竹田市を中心に、小石家との交流が密であった田能村竹田に関連する史料調査を実施した。 今年度に解読・検討をおこなって第1稿を作成した書簡は、篠崎小竹5通、曇栄宗曄5通、浦上春琴4通、角田九華4通、中井竹山3通、青木木米3通、山中信天翁3通、柴野栗山2通、篠崎訥堂2通、片山北海2通、梁川星巌2通、岡田半江2通、菅茶山2通、摩島松南2通、岳玉淵1通、巻菱湖1通、山本梅逸1通、本居大平1通、大塩中斎1通、松村景文1通、月峰1通、富岡百錬1通、菊舎尼1通、三田葆光1通、広瀬青村1通、永富数馬1通である。 比較的まとまって残る書簡を集中して読むこと、また史料調査で訪問する大分・岡藩関係者を取り上げて読むことで、これまでの研究史で明らかにされている事柄をさらに掘り下げることができ、あわせて、これまで見えていなかった交流実態の一面を新しく知ることもできた。 田能村竹田の出身地大分での史料調査では、竹田に関わる遺跡を実見し、なぜ竹田が岡藩の職を辞し、京坂と大分をたびたび往復したのか、その背景にある都と地方との関係を理解することができた。小石家を軸として竹田、頼山陽、浦上春琴ら、19世紀前半の京都で活躍した文人の交流の様相を多面的に考察する上で有益な知見得た。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
以下の通り、当初に掲げた6点の研究計画・方法にそって、おおむね順調に進んでいる。①「研究会の開催」は、さらに計画を着実に加速させるため、当初計画より1回増やし、年4回実施した。②「資料集刊行準備」は、本年度53通の書簡を解読・検討し、第1稿を作成した。③「史料調査」は、調査地を小石家と関わり深い田能村竹田の出身地大分県で実施した。④「資料収集」は、研究に必要な資料を計画の配分額内で収集した。⑤「研究発表」は、別記の通りメンバー各自が論文・講演などの形で成果を公表した。⑥「情報発信・相互の連絡」は、情報発信については模索中であるが、相互の連絡については、メールにて研究会前後および適時に詳細な情報・意見交換をおこなっている。
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Strategy for Future Research Activity |
平成30年度の実績を踏まえ、平成31(令和元)年度以降、以下の点を押さえて研究の進展をはかる。 ①年4回の研究会を開催し、引き続き小石家書簡の解読と検討を進める。②史料集刊行に備えて検討後の清書原稿をまとめていく。③小石家の文人書簡の背景をさぐるために、頼山陽の史料が多く残る広島県で史料調査を実施する。④研究の進展に必要な資料を収集する。⑤研究成果の公開として、論文執筆・口頭発表などを積極的におこなう。⑥研究全体の進捗状況をメンバー各人と常に共有する。 以上の計画をもって当該研究を着実に推進していく。
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Causes of Carryover |
研究分担者への配分において未執行分があるが、次年度以降適切に執行してもらう予定である。
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Research Products
(13 results)