2021 Fiscal Year Research-status Report
The research of "Kogi" during the period of the Meiji Restoration
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17K03113
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Research Institution | Hiroshima University |
Principal Investigator |
奈良 勝司 広島大学, 人間社会科学研究科(文), 准教授 (90535874)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
山崎 有恒 立命館大学, 文学部, 教授 (00262056)
奥村 弘 神戸大学, 人文学研究科, 教授 (60185551) [Withdrawn]
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 公議 / 三条実美 / 静岡県 / 肥後藩 / 台湾 / 戊辰戦争 |
Outline of Annual Research Achievements |
2020年度までと同様、複数回にわたって研究会を開き、幕末から明治期にかけて政治意志決定に関する認識や制度のあり方が変容し、新たな試みが実践されていった軌跡を検討した。また並行して、それらの成果を取り込む形で研究成果論文集の作成作業を進めた。なお、本研究会は後継科研の位置づけとなる基盤研究(C)21K00852「近世~近代移行期における『公議』の生成と展開に関する研究」に関わる研究会との合同開催というかたちで執り行った。 その際、単に民主主義(議会政治)の発展やその達成度合いが十分か不十分かという側面のみに視角を限定せず、近世社会において成熟した政治文化が変革期の混乱のなかでいかなる問題に直面し、どう展開したかという観点に立ち、政治・思想、中央・地方の各領域にまたがるかたちで、これまでの各メンバ―の研究成果を報告・吟味する作業を進め、それをもとに活発な討論・意見交換を行った。 具体的には、メールによる打ち合わせと並行して、2021年5月16日に代表者・分担者などのコアメンバーで成果論文集刊行に向けた会議をオンラインで行い、その後も断続的に協議を続けた。そして、7月3日には吉村雅美氏による研究発表会を、9月23日には海野大地氏による研究発表会を、2022年1月8日には奈良勝司による研究発表会を、3月5日には吉田武弘氏による研究発表会を行った。年度末に目指していたシンポジウムは新型コロナウィルス(以下、COVID-19)の感染をめぐる状況に大きな改善が見られないため、今年度も実施しなかった。 また、成果論文集に収める原稿の執筆・集約作業をメンバーのあいだで行った。ただ、これらはCOVID-19の全国的・全世界的流行の影響や以下に触れる事情もあって、現時点ではいまだ編集作業の途上の状態にある。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
昨年度から継続する問題であるが、COVID-19の感染拡大(および感染状況が収まりきらず、継続して日常化してしまう状況)が長引くなか、2021年度も対面形式での研究会、シンポジウムの開催が叶わない状況となった。かかる事態の継続をうけて、これも2020年度から取り組んできた研究会のオンライン開催を本年度も主軸に据え、また実務的な打ち合わせもオンライン形式で実施してきたが、これらは利点・利便性もあるものの、丹念で緻密な意思疎通や合意形成の面ではなお課題が残り、課題遂行にはやや遅れが生じた。研究代表者(奈良、広島大学)と幹事(伊故海、立命館大学)の物理的距離による運営面での弊害も根本的な解消には至っておらず、これらを鑑み、昨年度に引き続き研究期間の一年延長を申請した(後日採択)。 上述した諸困難に関する具体的な事例の一つとしては、成果論文集の出版元選定につき、上記のごとき弊害(綿密・継続的な意思疎通・決定の困難性)も関係するかたちで、若手執筆者の経済的負担などの要因もあって、いったん内定した出版社を仕切り直し、再検討・再調整せざるを得ない状況となり、その関連の折衝に時間を要してしまった点があげられる。
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Strategy for Future Research Activity |
COVID-19の流行がなかなか収束せず、感染者が高水準で高止まりをみせる状況の定着が、対面形式の研究会等への参集への妨げの要因となっており、今後も一定程度はなり続けることが予想される。以上の点から、前半期には研究会等は引き続きオンライン形式で執り行い、成果論文集の執筆・編集作業の進捗を優先させる予定である。そのうえで、2022年度の後半以降に上記の状況が改善をみせれば、1回もしくは2回の研究会の対面形式での開催を探りたい。シンポジウムに関しては、予算残額の関係もあり、オンライン形式での開催が可能か、状況を見極めつつ検討していくこととする。 研究会の開催場所としては、関西地域(京都・大阪)を考えている。また、2021年度までと同様に、本課題で組織された研究会形式のみにこだわることなく、各メンバーが個別次元でも国内外の学会・研究会・シンポジウム等で、幕末維新期の「公議」、意思決定に関わる問題に関する研究発表を積極的に行い、議論を重ねていくこととする。 打ち合わせに関しては、Zoom、メール等で意見交換・意思集約を今まで以上に行っていく。
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Causes of Carryover |
前年度までに引き続き、COVID-19の感染状況が収束しきらないなか、対面形式での研究会、シンポジウムを行うことができなかったことが最大の原因である。 以上の状況をうけ、2021年度の予算はメインとなったオンラインでの研究会の環境整備、関連書籍の購入などに主として使用することとなったが、2022年度の使用計画としては、COVID-19の感染状況の推移、ワクチンの普及状況などを慎重に見極めながら、対面での研究会ないしはシンポジウム開催が可能となる機会を探り、その上で参加するコアメンバーへの旅費・滞在費支給を中心に行っていきたい。残額が十分でない場合には、部分支給とするか、もしくはオンラインを併用したハイブリッド式の開催形態を取ることで、予算の枠内での執行となるように努力したい。
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