2018 Fiscal Year Research-status Report
Money ufification of money and economic thought in the early modern Japan
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17K03118
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Research Institution | Yasuda Women's University |
Principal Investigator |
高木 久史 安田女子大学, 文学部, 准教授 (50510252)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | 貨幣統合 / 銭 / 経済思想 / 紙幣 |
Outline of Annual Research Achievements |
16世紀から17世紀の日本国内での貨幣統合の経緯と当時の経済思想との関係を明らかにすることを目的に、史料検索ならびに研究発表に従事した。 最大の成果は、単著(『撰銭とビタ一文の戦国史』)を発表したことである。本書では日本の中近世移行期の貨幣なかんづく銭の製造・流通に関する史実の紹介と近年の研究の達成を整理することで、16世紀から17世紀にかけて進行した近世的貨幣統合とくに銭の統合過程を復元した。これにより課題名にある「貨幣統合」については一定の知見を得た。 「経済思想」については、2018年度社会経済史学会全国大会のパネル「日本近世における紙幣の生成と展開」における報告「紙幣を中心にみる近世日本貨幣制度像の再構築」を発表した。このなかで日本近世の同時代人の貨幣とくに紙幣に対する認識を整理した。加えて、貨幣史研究会において「太宰春台の貨幣論における素材観」と題し、日本近世中期における貨幣思想の一事例の歴史性を考察する口頭報告を行った。これら成果については2019・2020年度中に原稿化・発表予定である。 加えて、これら成果について国際学会にて外国語により発信する機会を得た(The 18th World Economic History Congress、マサチューセッツ工科大学。The 9th World Committee of Maritime Culture Institutes International Conference、廈門大学)。このことにより日本語話者のみならず非日本語話者にも研究成果を共有することをはかった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
史料検索を継続して進め、関連する情報を蓄積した。その成果を国内の大規模学会ならびに国際学会で口頭報告を行った(「概要」参照)。従来の当該分野の研究では非日本語での発信は少ない。英文での口頭発表を行うことで、非日本語話者との情報共有をすることができた。 また、単著の形で研究成果を社会に還元した。 以上のように、当該年度の研究計画として計画書にあげていた、個別実証事例の蓄積と一般化・概念化、政策と実態との比較兼希少、当該時期の経済思想との比較検証等の諸点については充分に進捗したものと自己評価する。
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Strategy for Future Research Activity |
当初計画の方法論により作業を行った結果、「概要」「進捗状況」に示した通りの進捗をみせた。つまり当初計画の方法論が適切であったことを確認できたので、これを継続する。 当該年度に行った作業より得られた視点に基づく史料調査、国内外の学会・研究集会での発表、論文発表等さらなる史料検索の実施という、当初の研究計画に沿って作業を実施する。 なお、2018年度に参加した国際学会で、複数の在外外国人研究者から共同研究の誘いをうけた。テーマは主に前近代貨幣の国際比較である。2021年度に開催される予定のWorld Economic History Congressのパネルに共同組織者としてエントリすることを目指し、2019年度から準備を行う。彼らとの議論の成果も当研究にフィードバックする。すなわち、国際的・学際的という、科研費による研究事業に一般的に求められている方法論を採用し、分析を進める。
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