2017 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
17K03124
|
Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
吉澤 誠一郎 東京大学, 大学院人文社会系研究科(文学部), 准教授 (80272615)
|
Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2020-03-31
|
Keywords | 中国近代史 / 辛亥革命 / 軍事 |
Outline of Annual Research Achievements |
20世紀初頭の中国政治史を、軍事をめぐる制度と観念に着目しながら再検討することをめざした。具体的には、辛亥革命前後の軍隊をめぐる制度と観念について、基礎史料を収集して分析する作業を進めた。主に、東京において入手できる史料をしっかり把握することに注力した。 その成果の一部は、日本西洋史学会において「辛亥革命にみる軍人の忠誠と反逆」として発表を行った。この報告は、軍人による革命や蜂起という現象を忠誠心との関係から考察したものであり、また当該時期の中国の軍事を国際的な文脈の中で理解していくことをめざした。新軍の蜂起は、指揮系統に忠実であるべき軍隊が、清朝を裏切ったということを意味している。少なくとも清朝政権から見て裏切りと理解するのは、ごく自然なことであろう。とくに問題となるのは、清朝は彼らの忠誠心を確保するためにどのような措置をとりえたのかという点である。そこで、軍紀を維持するための措置や、功績に対する報奨などの制度の整備について考察し、「忠誠と反逆」の問題の実態に迫ろうとした。 また、中華民国の初期大総統の就任儀礼に関する論考を発表することができた。これによれば、孫文が臨時大総統に就任した式典は、軍事的な色彩が強かった。孫文は軍服のように仕立てられたカーキ色のスーツを着て式典に臨んでおり、式次第においても軍人が不可欠の役割を果たしていた。また袁世凱の正式大総統就任式典には閲兵式が付随しており、軍を統率する者としての立場を明確にする意味も込められていたのである。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
現在までに、史料収集とその分析を進めると同時に学会報告や論文発表を進めてきており、一定の成果を得ることができた。とはいえ、校務の繁忙や家族の事情などにより、予定したほどに研究を進めることができなかったと考えざるを得ない。次年度使用額が発生したのは、そのためである。
|
Strategy for Future Research Activity |
今年度は、勤務先より特別研究期間を認められており、本研究に専念できる予定である。予定していた英国・米国における史料調査を進め、その分析を経て、論文執筆に邁進していく。
|
Causes of Carryover |
(理由) 校務の繁忙などのため、予定された海外史料調査ができなかったため、次年度使用額が生じた。 (使用計画) 次年度は、本務校より特別研究期間を承認されたので、本研究に専念できる。前年に行うはずであった海外出張を実施するつもりである。
|
Research Products
(6 results)