2018 Fiscal Year Research-status Report
唐帝国の駅伝体制の特質とその時代的変遷-日本および宋の駅伝制との比較を踏まえて-
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17K03131
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
荒川 正晴 大阪大学, 文学研究科, 教授 (10283699)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
伊藤 一馬 大阪大学, 文学研究科, 助教 (90803164)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | 駅伝制度 / 関津 / 駅道 |
Outline of Annual Research Achievements |
本科研調査の目的である帝都と地方州府を直結させる駅道の果たした役割と機能、および通行証(過所と公験)とそれをチェックする関津体制の実態を解明する一環として、帝都(長安)を取り囲んで設置された四方の関所[四面関Ⅰ~Ⅵ]について、昨年度に続き本年度(平成30年度)も実地調査を行った。 本年度は、研究分担者の伊藤一馬、研究協力者の市大樹とともに、当初の調査計画にもとづき、上記関所のうちⅣ[益州路(山南西道・剣南道方面)/岐州の散関]と、Ⅴ[涼州路(河西道方面)/隴州の大震関(故関)]を中心に、それぞれの関津の景観調査を行った。この景観調査により、いわゆる長安から西方に延びるシルクロードのルートが、単純に渭水沿いに通行できないものであったことを改めて確認した。また四川方面への交通ルートについても、散関が何故、長安から四川方面への複数ルート上にあった関所のうちで四面関に選ばれたのか、改めて検討することができた。 また荒川が検討を進めている唐代の駅伝制度と、伊藤が担当する宋代の同制度との比較については、不定期ながらも会合を設けて、制度としての相違部分に関して検討を進めた。研究協力者になっている市大樹にも、四面関の調査に参加してもらうことにより、唐代の関津制度について認識を共有するとともに、日本の古代駅伝制度との比較検討を進めた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究の大きな目的として、唐の帝都である長安と地方の州府を直接結ぶ駅道に設けられていた関津の実態を解明することがあるが、そのための手立てとして、帝都の周囲に設置されていた四方の関所「四面関Ⅰ~Ⅵ」を実地調査することを計画していた。初年度に続き本年度においても予定以上に順調に調査ができている。また唐の駅伝制度と宋および日本の同制度との比較については、不定期ながらも会合を設け分析作業を予定通り進めている。
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Strategy for Future Research Activity |
関津に関する実地調査については、順調に進行しているので、次年度もこのまま調査活動を維持してゆく。また駅伝制度の比較検討の作業については、これまで得られた成果を取りまとめてゆく予定にしている。
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Causes of Carryover |
極めて少額であったので、研究目的に沿って使用することができなかった。次年度分と合わせて、購入を予定している物品費の一部として使用する予定にしている。
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