2020 Fiscal Year Research-status Report
近世南アジアにおける地方史叙述の展開に関する文献学的研究
Project/Area Number |
17K03132
|
Research Institution | Kobe University |
Principal Investigator |
真下 裕之 神戸大学, 人文学研究科, 教授 (70303899)
|
Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2022-03-31
|
Keywords | 南アジア / 近世 / 歴史叙述 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究課題は、ムガル帝国時代(近世)に著されたペルシア語の地方史叙述にかかる文献資料を主たる調査対象として、帝国の威信を背景にした歴史叙述が南アジア各地方の過去を帝国の秩序に再編成していったプロセスを解明することが目的である。また主要なインド諸語の文献群における歴史叙述を採集することによって、近世南アジアにおける地方史叙述の形成と展開に関する総合的な基礎資料群を得ることも本研究課題の目的である。 2020年度においては、昨年度までの成果を踏まえ、ペルシア語の歴史文献を根拠資料として、各地方史に関する歴史叙述を整理する作業を進めた。インド通史の一部を構成するものから、単体として著作された地方歴史書に至るまで、網羅的に調査対象とした。昨年度における研究の進捗が「やや遅れている」ことに鑑み、整備済みの資料の整理・分析、および欧州の研究機関に所蔵される関係資料を、マイクロフィルムやデジタル画像等の媒体によって整理・分析する作業を進めた。 さらに地方史叙述の要素が流れ込んだ文献群として、16-17世紀に現れたポルトガル語文献の重要性が明らかになってきたので、ポルトガル語の主要な編纂史料の基礎的な整理に着手した。一方、近代インド諸語文献については昨年度までに収集した、初動の参考資料となるべきカタログ、参考書誌をもとに、研究に資する個別の一次文献群の検討をさらに進めた。また最新の研究動向をフォローするため、研究課題に直接、間接に関連する二次資料も併せて整備した。 以上のような文献相互の関係性についての関心から、ムガル帝国宮廷において行われた書物の挿絵に関するムガル帝国時代のペルシア語文献の訳注を作成し、公表した。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
2020年度においては研究成果のとりまとめを念頭に、資料調査をするべく、インドおよび英国に赴く予定であったが、感染症の拡大に伴い、これを来年度に延期せざるを得なかったため。
|
Strategy for Future Research Activity |
進捗状況が「やや遅れている」ことに鑑み、研究期間を延長したうえで、2021年度において、研究成果のとりまとめを意識しつつ、外国における実地調査の準備を進める。ただし、Covid-19感染症拡大の影響がなお続く可能性も考慮して、すでに整備済みの資料の整理・分析、および欧州の研究機関に所蔵される関係資料を、マイクロフィルムやデジタル画像等を遠隔の手段で購入し整理・分析する作業に注力する。
|
Causes of Carryover |
2020年度においては研究成果のとりまとめを念頭に、資料調査をするべく、インドおよび英国に赴く予定であったが、Covid-19感染症の拡大に伴い、これを来年度に延期せざるを得なかったため。2021年度において、研究成果のとりまとめを意識しつつ、外国における実地調査の準備を進める。ただし、感染症拡大の影響がなお続く可能性も考慮して、すでに整備済みの資料の整理・分析、および欧州の研究機関に所蔵される関係資料を、マイクロフィルムやデジタル画像等を遠隔の手段で購入し整理・分析する作業に注力し、これに経費を充てる方法も念頭に置く。
|
Research Products
(1 results)